帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

腹上死して生まれ変わってタイ人に94話


「村上よぉ。あのアットはエスパーか? 千葉に来て何もしないでブラブラしてたと思うと、突然あり得ないような深刻な出荷ミス事前に指摘して帰って行ったぞ。」
 

「常務。私も正直気味が悪いです。 彼には説明のつかない不思議な力があるとしか思えません。」
 
 
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 


第94話 トラブルを防げ!2
 
 
 
千葉工場で発生するはずだった出荷先間違いのトラブルを未然に防ぐことが出来たのでその日のうちに本社に戻ることにした。

その前に、この千葉工場で数か月以内に発生するであろう事故について注意喚起しておく。
 
 

呪われた千葉工場の3連続のトラブルその3。

前日に遅くまで酒を飲んで睡眠不足であった派遣作業員が転倒して顔を資材にぶつけて数針縫うケガ。


たいした事故では無い。
しかしトラブル続きの千葉工場の代表であった酒井工場長の止めを刺した事故。

俺は毎朝のラジオ体操の際に全作業員が体操する際の体の動きを毎回作業班のリーダー監視させ、体操の際の体の動きの鈍かった作業員の健康状態を聴き取るよう指示した。
二日酔いや体調不良の作業員はそのまま帰ってもらうように徹底させた。


◇◇◇◇◇◇◇◇

 
本社に戻ると村上部長に千葉で出荷ミスがあったことだけを報告。
 
会議室でゲームをしたり昼前に帰ったりしたのはバレてないと・・・思う。
 
 
俺を正社員にしてくれた酒井工場長への恩は返せたと思う。
スッキリした気分の俺は帰宅した。
 
 

■■■■■■■■■■■■
 

 

その日。
重い肝臓病で苦しんでいた千葉工場長の酒井常務の孫の手術が成功した。

アットが千葉に来た日に移植のドナーが見つかり、アットが千葉工場を出る日に手術が成功したのは・・・全くの偶然。




村上よぉ。悪いがワシが工場長の間はアットを本社に置いておくぞ。」

 
「そんな 酒井さん。私がタイに赴任する時は一緒に連れて行く許可はもらったはずですよ」

 


「ワシは奴を手元に置けば飯田派を崩せる気がしてきた。」


「アットにそんな力があるとでも?」


「分からん。とにかくお前は予定通りタイに行ってもらう。」