機械製造会社の駐在員ユウイチは泥酔しながらも若いゴーゴー嬢をホテルに連れ込み行為の最中に突然死してしまう。
死んだはずのユウイチは目覚めたとき、タイ人中学生の【アット】になっていた。
コンケン大学を卒業したアットは前世で勤務していた会社に入社する。
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第74話 ツインテールのヌーイ
「待たせてすみませんです~。」
2002年5月。
俺は営業部に異動してクレーム対応や請求書の送付などで客先に行くことが多くなった。
いつものように請求書を客先の経理部署に届けるべくサムットプラカーンのお客様の工場に行った時に天使のように可愛い女性に出会った。
請求書を渡すべく受付で待っていた俺に、ツインテールの髪先を揺らしながら走ってくるのは、小柄で笑顔が可愛い20歳そこそこの女性だった。
美少女というほどでは無い。屈託のない笑顔と小動物のような動きは見ていて微笑ましい。
俺はこの娘と話が出来る良いきっかけだと思い、受付カウンターで請求書をチェックしている彼女に話しかけた。
「ヌーイさんの髪形はセーラームーンみたいに可愛いね。」
「??? 日本語が読めるのですか~?」
日本に留学経験があって日本語検定1級の機械エンジニアだと説明すると「すごいです~ すごいです~」と初対面ではちょっと近すぎる距離まで迫ってきた。
客先の受付で長話も出来ないので、少しだけ話をしてから名刺を渡して立ち去った。
やはり女の子は若くて元気な方が良い。
つきあってから8年ちかくになったナムワーンは最近体重が増加し、「ぽっちゃり」という表現に当てはまらなくなっている。
ヌーイはそんなナムワーンの体重の半分ぐらいじゃないかと思う。
そろそろナムワーンと別れようかと考えながら車を走らせる俺だが、問題はナムワーンにコンドミニアムの内装費用として借りた25万バーツの借金である。
ようやく去年の末から所有するコンドミニアムの2部屋目を貸し出すことが出来たので、二部屋合計で毎月38,000バーツの家賃収入を得ており25万バーツの貯金が出来た。
すぐにナムワーンと別れるかどうかは別にして借金は返さなければならない。
俺はその足で銀行に立ち寄り25万バーツを引き出した。
「どうしたの?このお金」
「2年前に借りた内装費だよ。ローンを支払いながらだったから家賃が貯まるまで時間がかかってごめんな。」
あのコンドミニアムは将来ふたりで住むためのものだから返さなくて良いというナムワーンであったが、お金のことはキッチリしないとダメだと言い張ってナムワーンに強引に渡した。
その日はヌーイの裸を想像しながら久しぶりにナムワーンとセックスした。