帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

腹上死して生まれ変わってタイ人に82話

機械製造会社の駐在員ユウイチは泥酔しながらも若いゴーゴー嬢をホテルに連れ込み行為の最中に突然死してしまう。

死んだはずのユウイチは目覚めたとき、タイ人中学生の【アット】になっていた。
コンケン大学を卒業したアットは前世で勤務していた会社に入社する。

第1話はこちらから
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第82話 ヌーイとの再会
 
 
 

「クソッ! クソッ! あの! 女! 俺を! だまし! やがって!」
 
 
ソープ嬢のお尻を後ろから突き上げながら俺は日本語でヌーイを罵る。
 
 
2002年11月。
ヌーイと連絡が取れなくなってから2か月経過した。

会社を無断欠勤してモチットのバスターミナルで1日中立ち尽くした後の数日は意識がもうろうとして仕事が手に付かなくなり周囲を心配させたが、上司や同僚には正直に失恋したことを話したため、アットの勤務先での評価には影響しなかった。
 

精神的には回復したが、ヌーイに対してセックスを1回しただけで20万バーツ近く浪費させられた怒りはまだ治まっていなかった。

アットはヌーイに対する不満を発散するかのように頻繁にソープランドに通い、ソープ嬢をバックから突き上げながら「クソッ! クソッ!」と日本語で言いながらセックスする姿は異様である。


ヌーイのために引っ越したアパートに住んでいるとヌーイの事を思い出して悔しくて眠れなくなるため早々に引っ越した。

もう1回ぐらいヌーイとセックスしたいと思うアットであったが、ヌーイの痕跡と記憶を消して忘れようと努力した。



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「アット元気? 私たちまだ友達だよね? 今度バンコクに仕事を探しに行くから交通費振り込んで!」
 

2002年12月。
3か月間音信不通であったヌーイから突然の連絡があった。

ヌーイのことを忘れようと努力した3か月であったが、ヌーイからの振り込みの要求を断れなかったアットだった。

振込金額は指定されなかったのでいくら振り込むのが正解だろうかと夜中まで悩むアットだった。


全く振り込まないのが正解なのだが、ヌーイとセックスする可能性を残しつつ最小限の振り込み額を考えた結果、純粋な交通費としては十分過ぎる2,000バーツを振り込んだ。


「アット!ありがとうね! バンコクに着いたら連絡するから」


今回はさすがにモチットのバスターミナルまで迎えに来いとは言わなかった。
言われても迎えに行かないが。

ヌーイとのやり取りが復活してからまたもアットは1時間毎に携帯電話の画面を見て着信を確認してしまう癖が再発してしまった。

アットは無意識のうちにヌーイからの連絡を待つようになった。


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「アット! 私は今マーブンクロンセンターにいるから来て!」


ヌーイに交通費を振り込んでから1か月ほど経過して今回の交通費請求も嘘だったと諦めかけた頃。
ヌーイから呼び出しがあった。

呼ばれて行ったのはマーブンクロンセンターにあるレストラン。
俺が着いた時にはヌーイは食事を終えて紅茶を飲んでいた。


バンコクに戻って来てたけどなかなか連絡しづらくて」


ヌーイは俺からの交通費によってバンコクに戻っていた。
しかし俺に対して罪悪感があるから連絡しづらかったらしい。


「交通費を何度も請求したけど本当バンコクに来てたから! 私を信じて!」


そういう問題じゃないと思う。
俺が勝手に「交通費請求=俺に会いに来る」と考えていたのは確かだが。

バンコクには戻りたかったけど俺には会いたくなかった訳ね。
ならどうして今回俺が呼び出されたのだろうか?


「これお願い!」


そこにはお会計金額2,800バーツと書かれた紙があった。