帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

腹上死して生まれ変わってタイ人に77話

機械製造会社の駐在員ユウイチは泥酔しながらも若いゴーゴー嬢をホテルに連れ込み行為の最中に突然死してしまう。

死んだはずのユウイチは目覚めたとき、タイ人中学生の【アット】になっていた。
コンケン大学を卒業したアットは前世で勤務していた会社に入社する。

第1話はこちらから
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第77話 ナムワーンとの別れ




アットが部屋に戻るとナムワーンが暗い部屋でひとりで泣いていた。
かける言葉が無い。俺は結果的にヌーイに何もしていないが状況証拠が揃いすぎている。

石鹸の匂いがする俺が今さら言い訳しても仕方が無い。


「アットは私が嫌いになったの? どうして私にこんなひどいことするの? 私と別れたかったら直接言えばいいじゃない。」


激怒するわけでは無く、泣きながら淡々とナムワーンは俺を責める。

とりあえず正直に状況を話してみた。


「ウソ! 25万バーツを私に返したのも別れるためだったのでしょ! 私が嫌いだったらそこ娘のところに行ったらいいでしょ。」


まあ信じてもらえないだろうな。

ナムワーンと一緒に住んで7年ぐらいになるが、俺はこいつと結婚するつもりは無かった。
そもそもこいつをそれほど好きというわけでも無かった。

ヌーイが好きで仕方が無いという訳では無いがそろそろ別れないとズルズルと結婚する羽目になるのでこの機会に別れることにする。

既に深夜でいきなりの展開であったが、俺は部屋の荷物を車に積み込んで部屋を出た。

とりあえず行く場所は無いので、今晩は車の中で寝て明日新しい部屋を探そう。



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俺は結局3日も車中泊する羽目になった。
ようやく入居できるようになった新しいアパートはサムットプラカーン県のサムロン。
エアコンも無い簡素な部屋だがそこそこ新しい建物でまだ綺麗だ。

このサムロン地区は前世で俺が死ぬ直前にBTSのスクンビット線が延長開通したが、今は不便な場所で家賃も安い。

この場所を選んだのは勤務する会社とヌーイのアパートのほぼ中間地点だからだ。
今後ヌーイと付き合うことを視野に入れて便利な場所だと思って決めた。




新居が落ち着いてからヌーイにナムワーンと別れたことを電話で伝えたが、別れたことをなかなか信じてもらえない。

来週に会う約束はしたのだがその際に何故か【お詫び】という理由でネックレスを買う約束をさせられた。

被害者の俺が加害者のヌーイに【お詫び】というのは納得できないが、とりあえずあの日出来なかったセックスをしなければならない。



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