腹上死して生まれ変わってタイ人に70話
機械製造会社の駐在員ユウイチは泥酔しながらも若いゴーゴー嬢をホテルに連れ込み行為の最中に突然死してしまう。
死んだはずのユウイチは目覚めたとき、タイ人中学生の【アット】になっていた。
コンケン大学を卒業したアットは前世で勤務していた会社に入社する。
第1話はこちらから
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
第70話 日本研修 1
2001年9月。
毎年数名のタイ人スタッフを日本の生産拠点で短期間研修させることが発表された。
研修期間は1週間で、各部署から1-2名が毎年選抜されるらしい。
「タイ人スタッフに日本研修させると士気が上がる」そう思っていた時期が俺にもありました。
だから会社は数か月前に日本研修のことを発表し、「自分が選ばれるように頑張ろう」とタイ人スタッフに伝えたのだろう。
会社 というか社長とか村上さんの狙いと異なり、実際はそれほど歓迎されていない。
タイ人既婚男性は「出張」だと嫁に言って浮気相手と旅行することが多い。
1週間も出張すれば嫁に変な疑いを受けるから長期出張は出来ないというヤツは結構いる。
女性スタッフはシングルマザーが結構多いのでそもそも無理だと拒否するし、若い女性スタッフは「日本はヤクザが怖い」とか意味不明な理由で嫌がっている。
研修に行くメンバーはそれぞれの部署のタイ人マネージャーが選ぶそうだが、自分の部署で主力メンバーが1週間も抜けるのは周囲やマネージャー本人にも負担が大きい。
したがって戦力になっていないスタッフで、勤続年数がそれなりに長くマネージャーのお気に入りが選ばれるとなると・・・仕事は出来ないが組織内ではうまくやっているタイプのスタッフが選ばれるだろう。
発表から2か月後。
今回の日本研修に行く各部署から選ばれたメンバーが決定した。
俺が所属する機械グループからは2名選ばれた。
グループ内の最年長の50代のパットさんと40代のオネークさんだった。
よりによって日本人視点から見て「日本に研修に行かせたいランキング最下位」を争う二人だった。
第1話はこちらから