腹上死して生まれ変わってタイ人に21話
生産機械メーカーのタイ法人に勤務するユウイチは泥酔しながらも若いゴーゴー嬢をホテルに連れ込み行為の最中に突然死してしまう。
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第21話 日本初日
大分県は外国人留学生の受け入れに積極的で、青山高校でも交換留学生を毎年受け入れているらしいが、日本語を話せる留学生は僅かだったらしい。
最初は日本語を教えたり、夕方は英語で補習授業をするため担任の負担が増える。
アットは日本語の授業も理解出来そうなので、ほっとしているそうだ。
「6年でそれだけ話せるなんてすごいね。僕なんか英語を学校で10年勉強したけど全然話せないからねー。」
「僕の家は貧乏なので将来日本企業に勤めて給料をたくさんもらうために必死なんです。」
不自然にならないように日本語を習得した経緯を大原先生に説明しているうちに福岡の街を抜けて、周囲はのどかな田園風景に変わった。
「アット君。別府は田舎だからがっかりしないでね。」
「別府は温泉が有名な街ですよね。
楽しみです。
「その六ヶ所村っていうのは聞いたことは無いけどロイエットってところは日本で言う青森の田舎ってことだね?」
そのあと適当にごまかしつつ大原先生と会話しているうちに別府市街にあるホストファミリー宅に到着した。
ホストファミリー宅は60代の夫婦二人暮らしの家庭だった。
先生の説明によると、アットの食事はホストファミリーの方と一緒に食べることが出来て無料。
外食する際は自己負担とし、食事が不要な場合は前日に伝えなければならない。
門限は22時で飲酒や喫煙は高校生なので当然禁止である。
アットに与えられた部屋は四畳半の部屋で、ベッドとテレビがある。
これから毎日、好きなだけ日本語のテレビが見られることに感動した。
これから毎日、好きなだけ日本語のテレビが見られることに感動した。
久しぶりの日本に感動しつつもアットは日本で過ごす10か月間の目的について考える。
この10か月にコンケン大学の学費および在学中の生活費を稼がなければならない。
学費・教材などの費用が4年間で約6万バーツ。
家賃や生活費が毎月3000バーツとして4年間で14万バーツ。
家賃や生活費が毎月3000バーツとして4年間で14万バーツ。
合わせて20万バーツ(約100万円:当時)
日本に居るあいだに100万円貯めるのが理想的だが、毎月支給される4万円にアルバイト収入を合わせて毎月6万円以上稼げるだろうか?
タイでも大学に通いながらアルバイトをすれば少しは稼げる。
4年間の学費・生活費の全額は無理でも日本留学期間に頑張ってお金を貯めよう。
お金を貯めるのも大事だが貯めたお金を両替するタイミングも重要だ。
俺が前世で大学3年の頃に初めて海外旅行に行ったときは1ドル80円だったが、2年後には120円ぐらいまで下落していたはずだ。
ということはこれから4年で円高が進み、その後円の価値は下がる。
円高が進む4年間で日本円を蓄えて4年後にドルに両替すれば良いんだ。
まだこの時点ではバーツとドルは固定相場だからバーツに替えても同じか。
今、日本円を出来るだけ稼ぐ
↓
大学3年まで出来るだけ両替しないで持っておく
↓
大学3年になればすべてバーツに両替する
↓
大学3年まで出来るだけ両替しないで持っておく
↓
大学3年になればすべてバーツに両替する
という方針で行く。
タイに戻っても円を現金のまま4年間も保管しておくのは物騒だ。
セキュリティーという概念の無い寮やアパート生活で現金を持っているのは危険極まりない。
セキュリティーという概念の無い寮やアパート生活で現金を持っているのは危険極まりない。
実家でも現金が見つかれば即没収されるだろうし、母親に預けるのも論外だろう。
そのまま日本の銀行口座に預けておいて大学3年になったら取りに来よう。航空券は勿体ないが資産を安全に保管する方法は無い。
そういえば俺が新入社員の頃にアジア通貨危機が発生してバーツの価値が半分になったはずだ。
大学卒業後に資産をすべてドルにする。
通貨危機後にバーツに戻せば、タイミング次第では2倍に出来る。
バーツで借金やローン返済があればさらに理想的だ。
ということで、この後で発生する超円高とバーツ危機を利用して資産を増やすためにはこの10か月で元手を作らなければならない。
そんなことを考えながら日本初日の夜を迎え明日は初登校となった。