腹上死して生まれ変わってタイ人に19話
生産機械メーカーのタイ法人に勤務するユウイチは泥酔しながらも若いゴーゴー嬢をホテルに連れ込み行為の最中に突然死してしまう。
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第19話 モッドとの別れ
久しぶりにロイエットに戻ってきた。
10か月間の日本留学が内定し、パスポートの取得と両親の承諾と留学準備のための資金をもらうために。
「お母さん!
日本政府からの援助で無償での日本留学が決まったよ!」
日本政府からの援助で無償での日本留学が決まったよ!」
「何でまた急にそんな遠いところに行くなんて・・・
せめて高校を卒業してからにしてもらいなさい。」
「そんなこと言われてもモー5(高校2年生)限定の10か月間の留学だから来年から行くことになるよ。
航空券や向こうでの生活費は日本政府で見てもらえるけどパスポートの取得とバンコクへの交通費と多少の現金は必要なんだ。」
「パスポートなんて・・・うちに余裕は無いから留学は断りなさい。」
「日本に留学して帰ってきたら日本語を覚えて日本企業で高給で働けるよ!
アルバイトで日本語通訳が出来るようになるから大学の学費も心配ないんだよ!
将来お金を稼ぐチャンスなんだ。
将来お金を稼ぐチャンスなんだ。
だからお願いします。」
またも正座して合掌した手を頭の上に乗せてタイ式の土下座をする。
そしてエサを見せる。
「日本語が出来ると初任給は2倍になります。
仕送りも2倍出来ますからお願いします。」
本当にウチの両親は馬鹿だ。子供が無償で留学できるのにパスポートの取得代金でゴネるなんて・・・。
具体的に日本留学経験により初任給がどれだけ違うか
留学する10か月間は学費や寮の家賃、食費もかからない
など具体的な目先のメリットを力説して母親には了解を得た。
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母親から説得を受けた父親に言われた。
「日本に行ったら家に仕送りしてくれるんだよな?」
出稼ぎじゃないんだから留学ビザで働いたら捕まるよ
と言うとがっかりしていた。
実際日本では働ける限りは働くつもりだけどお前には金は送らん。
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ロイエット県の役所に行ってパスポートの申請手続きを行う。
パスポートの申請費用は1000バーツ。
他に渡されたのはたった1000バーツ。
バンコクまでは車で送ってくれるらしいが、海外に行くのに持っていくお金はたった1000バーツだけとは心細い。
日本に留学する子供に出来るだけ金を持たせようとする気持ちは無いのだろうか。
こいつらは馬鹿だから身近に留学経験者が居ないから大きな待遇格差が実感出来ないのだろうな。
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両親の合意も得られ、パスポートも取得したので日本留学への障害は無くなった。
手続きも進み、後は受け入れ先の詳細と日本行きの航空券が送られてくるのを待つだけとなった。
経産婦とは言え、一様は恋人関係にあるモッドに日本留学を話さなければならない。
来年の新学期から日本留学が決まったことを告げられたモッドはしばらく泣いた後、無言で去っていった。
タイの高校生としての常識からすれば 日本に留学=別れる となる。
先進国へ留学することでカーストが1段上がるためそれまでの彼女(彼氏)とは釣り合わなくなるからだ。
戻って来ても関係が続く可能性は少ないため帰るまで待っていてほしいと言うのは逆に無責任とされる。
日本留学が決まったと悲痛な面持ちで告げるだけで後は自然と相手が離れていく。
毎週2回定期的にセックスさせてくれる相手が居なくなって不自由ではある。
しかし子持ちのモッドと結婚するつもりは全く無いので都合よく別れることが出来て良かったと言える。
これから学期末に向けて少しでも良い成績を取るために勉強する。
2年後にコンケン大学への推薦を得るために。