帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

腹上死したら生まれ変わってタイ人に 11話

生産機械メーカーのタイ法人に勤務するユウイチは泥酔しながらも若いゴーゴー嬢をホテルに連れ込み行為の最中に突然死してしまう。

死んだはずのユウイチは目覚めたとき、タイ人中学生の【アット】になっていた。


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第11話 コンケン大学付属中学



3月編入試験を無事クリアし、5月からコンケン大学付属中学の高等部に入学した。

タイの中学は6年制で中等部・高等部と分かれており中等部は日本でいう中学校、高等部は高校と同じ。



中高一貫校タイ語でマッタヨム(中等)。ちなみに小学校はプラトム(初等) 

中学校はマッタヨムトン(トン:始まり、前半) 
高校はマッタヨムプラーイ(プラーイ:終わり、後半)

直訳すると、中学校前期 中学校後期と訳すのが正しいのかもしれないが、ここは中学校の中等部・高等部と表現する。



通常は中学校に入学してからそのまま6年間通うが、希望により中等部を終了してから職業教育学校に移る生徒も多い。

職業教育学校は日本での工業高校・商業高校とほぼ同じ。 
大学に行かないのならある程度専門知識を学んでいた方が就職に有利なので高等部に行かないでこの職業教育学校(ポーウォーチョー)に変更する生徒も多い。




アットはコンケン大学付属中学の高等部の1年目(4年生:マッタヨム4(モー4))が始まった。

学校があるのがタイの東北部にあるコンケン県。



コンケンはバンコクからは450km北東に位置し、長距離バスでは6時間程度。
ロイエットもコンケンと同じくタイの東北部に位置し、ロイエットはコンケンの南東150km。

アットはロイエットの実家からの通学は不可能なので学校にある寮に住むことになった。





コンケン大学付属中学はタイの東北部の中では有数の進学校なだけあって日本の進学校には及ばないが勉強熱心な生徒ばかりである。

高等部からは外国語プログラムの選択授業で 中国語、日本語、韓国語、ロシア語、ドイツ語の授業があり、さすがに教育都市を目指すコンケンには1週間に1回日本人の先生による日本語の授業があるそうだ。



ユウイチ】がアットに乗り移ったことで、アットは日本人並みに日本語の読み書きが可能となっているが、さすがにロイエット生まれでロイエット育ちのタイ人が急に日本語が堪能になるのは明らかに不自然であった。

ロイエットでは秘密にしていた日本語能力だったが、知り合いのいないコンケンでは日本語能力を隠す必要は無い。

久しぶりに日本人と話したかったので職員室に日本人の先生を訪ねて行った。


『先生! 私はアッタポンと申します。
この度ロイエットの中学校から編入してきました。
趣味は日本語の勉強です。宜しくお願いします。』


「!!!!!!!!」



普通に日本語で先生に話しかけたら先生がびっくりして固まってしまった。



『あ あっ アッタポンさんですか? どうしてそんな流暢に日本語が話せるのですか?』


『ロイエットで日本からセーネンキョウリョクタイで来た技術者のユーイチさんに10歳のときから5年間たくさん日本語を習いました』


先生があまりに驚いたので少しカタコト風に寄せて話してみた。
久しぶりに日本語で誰かと話したかっただけで、今さら日本語を第二外国語に選択するつもりは無かったが、先生には日本語の授業の参加を懇願された。


タイ語がほとんど出来ない先生は授業の進め方に悩んでいたため授業に協力してほしいとのこと。




日本人の先生の名前は ユミ先生 30歳の女の先生で独身。
見は20代でも十分通用する小柄でショートカットの似合う女性だ。

特別美人ではないが、NHKのアナウンサーのように知的で清潔感のある女性である。
もちろんアットとしては十分性的対象になりうる年上のお姉さんだ。