コールセンターの⑨ 2話
「タイのコールセンター」
それは日本人でさえあれば年齢・学歴・経験・語学力を問わず誰でも就くことのできる仕事。
経費削減のために日本の労働法を遵守する必要も無く低賃金で雇用できるタイで日本人を低賃金で雇いコールセンター業務を行っている。
そんなタイのコールセンターで働く一人の男性の物語。
経費削減のために日本の労働法を遵守する必要も無く低賃金で雇用できるタイで日本人を低賃金で雇いコールセンター業務を行っている。
そんなタイのコールセンターで働く一人の男性の物語。
第2話 問題発生
社長がタイ進出を検討するために5日間のタイ視察旅行に同行したシパケイは帰国して通常勤務に戻っていた。
『営業職』のシパケイの主な仕事は完成した特殊車両の納車であり、明日は仙台納車するために夜中に出発しなければならない。
夜中に出発して7時間かけて仙台まで運転する必要があるにも関わらず、夜遅くまでビリヤードに興じてしまったので、そのまま寝ずに会社へと向かった。
会社の作業場の門扉は古くて重いので、疲れていたその日は扉を半分だけ開けて納車予定の車を出した。車を出す際に門扉のところで何かこすったような音がしたので車を止めて見てみるとバンパーに傷がついていた。
しかしシパケイは約束の時間に納車出来なくなることを心配してそのまま仙台に向かった。
仙台の客先に納車しようとしたが、その会社の社長から怒鳴られた挙句に 「傷物は受け取れない」 と納車拒否されてしまった。
その後、そのまま仙台から会社まで車に乗って帰って来ると工場長に怒られた。
「シパケイ。どうして納車途中で事故を起こしたときに報告しないんだ!」
「すみません。夜中だったので・・・。」
「夜中って 工場の近くでか?」
「工場の敷地内です。」
「お前は馬鹿か?工場の敷地内だったらすぐ修理して納車出来ただろ! それを仙台まで乗っていく馬鹿が居るか?」
「納車時間に間に合わないと思ったので・・・」
「ぶつけた車を納車しても仕方が無いだろ!それに向こうの社長が受け取らないから車体を入れ替えて設備入れ替えだぞ?いくらの損害だと思うんだ!!!」
シパケイは工場長に相当怒られた挙句に周囲からも白い目で見られる。
「あいつは10年も働いているのにロクに営業できないから納車担当だったのにその納車すらまともに出来ないなんて相当馬鹿だな」
「あいつはお荷物社員でどの部署もいらないから仕方なく納車担当してたけど、こんなに会社に損害を出したらクビだぞ」
そのあと社長に呼ばれた。
「シパケイ君。何か起こったらすぐに工場長に電話しないと駄目じゃないか。」
「申し訳ありませんでした・・・・。」
「お客さんに最終調整に手間取っているとか適当に説明すれば良かったんだよ。君も営業なんだろ?・・・・あ。営業じゃはもういいから明日から工場に転属ね。」
昨日から寝ずに10時間以上運転しつづけて、帰ってきたら怒られて・・・最悪な一日だったな。
とりあえず帰って寝よう。
まだ楽観的なシパケイであった。