帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

束縛する妻

今から20年ほど前。1996年から2000年にかけて日本人の妻がいた。
4歳ぐらい年下で毛深くて鼻の穴が大きく、デブでブスだった。

元来ぽっちゃり派の俺にとってはデブなのは長所に見えるが、今思い出しても鼻の穴しか思い出せないブスだった。
自己中で、結婚してから数年で家に帰るのが嫌になりだらだら残業ばかりしていた思い出がある。

束縛と言うか特殊なルールが一方的に決められ、それを破るとしばらく口をきいてもらえなかった。


★家での飲酒禁止
★家での読書禁止
★職場の飲み会の参加は極力回避する(断れない飲み会のみ参加)
★家では一緒にテレビを見ること(チャンネル権は妻)
★エアコンの入り切りの権限は妻のみ(俺にとって家は寒かった)


職場で上司などに妻のこういった束縛のエピソードを話すと、「そんな嫁とすぐに別れろ!」と言った上司が2人いた。
基本的にドMな俺としては我慢することは苦痛ではなく、職場で
自虐的に妻の話題をするのも楽しかった。

妻は何かあると
★口をきいてくれない
★別れると言い出す
★気に入らないことがあれば愛が無いと言う

と言い出すのでなだめるのが面倒だったが苦痛ではなかった。

結婚生活で苦痛だったのは妻とのセックスだった。
結婚前に3年ほど付き合っていたが、結婚の時点でセックスの相手としての魅力は無くなっていた。

日本では風俗店に行かなかったし、浮気相手など居なかったので他にセックスする相手が無かったにも関わらず、妻とのセックスは苦痛だった。


そんな結婚生活も3年目に転機が訪れた。俺のシンガポールへの転勤である。
妻と離れたかった俺は単身赴任を希望し、妻の束縛から逃れた。
一人になった俺はシンガポールで風俗デビューし、海外での単身生活を満喫するようになった。


その後妻から単身赴任生活が1年を迎える前に一方的に離婚宣言された。当時はそれなりにショックだったが、理由はセックスレスとの事である。
実はその数日前に、半年ぶりに妻が日本からシンガポールに会いに来た際にセックスが成立しなかったのが原因だった。(セックスは途中までしたが、すぐにしぼんでしまった)


半年間会わなかった妻には野獣のように襲い掛かり、すぐに果てるのが当たり前にもかかわらず、最後までセックスが出来ないのが信じられないとのこと。


危険予知をしていた俺としても妻が来る1週間ぐらい前から風俗に行かないで我慢するつもりだったが、妻が来る前日に我慢しきれず風俗に行ってしまったのが敗因(今となっては勝因)である。

離婚要求の後、あくまで妻をなだめる俺との電話での度重なる話し合いが不調に終わり離婚が確定的になった後で俺は、赴任1年目の休暇を利用して日本に帰国した。

帰国初日に妻に会った際に予想通り離婚届を突きつけられ、俺が離婚届にサインするとともに、財産分けで100万円(事前協議済み)もらった。
その翌日から妻から分けられる予定の100万円をもってタイ経由で念願のカンボジア旅行に行く航空券をすでに購入していたので、協議が長引くのではないかとヒヤヒヤしたが、無事に離婚が成立し、100万円が手にはいったので良かった。


離婚届にサインが終わった後で離婚の理由や結婚生活の(妻だけが)楽しかった思い出を泣きながら語るのを上の空で聞きながら俺は翌日から「幻の国」と言われたカンボジア旅行にウキウキしていたのが懐かしい。


今も覚えている妻との想い出は、漁港近くで仕事をしていた時に、仲良くなった漁師さんから刺身用の新鮮な魚をもらって、今日はせっかく良いつまみがあるので、来客用のために冷蔵庫にあったビールを空けて良いかと聞いた途端に怒って口をきかなくなった。

仕方なく刺身だけを食べ終わったころに、怒りながらテーブルの上にビールを叩きつけた妻に、つまみが無くなったからもういらないと言うと「折角ビールを出してあげたのに」とさらに怒り出してしばらく口をきいてくれなくなった思い出だ。

食後のビールはおいしくなくなることを理解していなかったのだろうと思うが・・・。

どちらにしろ自分に都合の良いルールを一方的に押し付けて、それを守れないと怒るのは良くないことだと思う。
もしくは俺の家庭内の力関係がただ弱かっただけなのかもしれない。

性格が悪くてデブでブスで毛深くて鼻の穴が異様に大きい嫁とそこまで結婚したかったわけではなかったのに。しかし当時の妻は俺より収入が多く、金には不自由しなかった。

金銭的に自分が絶対有利な立場に居ないと妻との力関係に問題が生じるので結婚するなら相手は専業主婦にしようと誓うが、次も失敗することになる。