帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

海外転生9-タイに行ったら本気出さなくてもやっていける

「海外転生」

それは日本で自らの行いが原因で居場所が無くなった者、能力が無く努力をしないのに自分はどうして評価されないのか現状に不満を持つなどの社会不適合者が新たな新天地として海外に活路を求め新しい人生を歩むこと。

この話はタイでなら俺でも勝ち組になれると信じてやってきた無職で職歴も無い自意識過剰な男の実話。
 
 
 
「カラオケやッサージパーラーは行きません。(テーメー)ナンパ専門です。」(シパタケ談)
 
 


第8話 ジョブホッピング


タイで日系企業にタイ人や日本人のスタッフを紹介する赤い人材紹介会社に入社して1年半。
待ちに待った4月の定期昇給を迎えた。
 


去年の4月は入社して1年未満のため昇給は無しであったが、今度こそ大幅昇給を期待している。

1年半も月給30,000バーツという薄給でこき使われてきた自分自身を褒めてあげたい。

 


今回の昇給をより確実にするため、先月は深夜のテーメー通いを控えて無遅刻・無欠勤で頑張った。

仕事でもオダに文句を言われる回数は以前に比べて減ったし、新人の日本人スタッフにも率先して指導している。
俺の予想では1万バーツの昇給は確実であろう。

 




期待して給与明細を見たところ昇給額は600バーツだった。


昇給がたったの600バーツだったことについて何かの間違いかと確認に行った。

 



オダ:
労働局から今年は2%以上の昇給を通達されているから仕方なく昇給してやったがお前には昇給の権利は本来無い
 


シパタケ:
1年半も働いたのに昇給がたった600バーツなのはおかしいでしょ!
 


 

オダ:

ところでお前。競合の日系人材紹介会社に求職者登録しただろ?
この間の同業者懇親会で登録に来たお前の扱いに困ったと言われたぞ!
辞めたいなら今すぐでも辞めていいぞ?

 

おまけにお前がその会社で提示した希望給料は8万バーツだってな?

1年半も人材紹介業に従事していてお前の自分自身の「人材としての価値」が理解出来ないのか?

どう考えてもおまえじゃあ8万の希望給料は無謀だろ?
お前は1年以上この仕事をしてきたのに日系企業が求める人材のスペックや給料相場が理解出来ないから給料が上がらないんだよ。



シパタケ:
オダさん。
もう我慢できませんので今日限りで会社を辞めさせて頂きます。

 

と言って俺は会社を飛び出した。


これまで何社も人材紹介会社に求職者登録したが、どの会社も俺に仕事を紹介してくれなかったのはオダが裏で汚い手を回していたからに違いない。
 
オダとは繋がっていない新しい人材紹介会社に登録して仕事を探すしか無い。
 

ということで新規に出来た人材紹介会社に登録することにした。



その新しい人材紹介会社は「バンコクお仕事検索」というふざけた名前の会社で、デブの中年日本人「ノドオ」と同じくデブのタイ人女性のたった二人で運営している小さな会社だった。
 
エレベーターも無い入口がどこか分かりづらいしょぼいビルの3階にあるオフィス。

ノドオは新しく出来たばかりの人材紹介会社なので、まだ企業からの求人案件は少ないらしい。
 
俺の登録のための面接というよりは、ノドオが一方的に赤い人材紹介会社の内情を聞いただけだった。
 

翌日ノドオから

シパタケさんに仕事は紹介できないが、とりあえずアドバイザー契約をしてもらえないか。出勤時間は自由で私にアドバイスをもらえれば毎月3万バーツの報酬を払うから。

というオファーがあった。

しかしあくまで俺は正社員として雇用を希望する。
ビザおよび労働許可を支給した上で給料5万だと主張して断った。


このショボイ会社に俺が1年半で培った人材ビジネスのノウハウを教えてやっても良いが、今は正社員としての仕事を探しているのだ。


「ノドオ」の会社以外にオダとの繋がりが無いであろう弱小と言われる個人経営の人材紹介会社に片っ端から登録する。

 



登録した人材紹介会社からは、何件か仕事を紹介してもらった。
そのうち2社とは採用面接までしたが、1社は不採用。もう1社は勤務地がバンコクからあまりにも遠いので俺が断った。

赤い人材紹介会社を辞めて2ヶ月。収入が途絶えて残りの金が心配になってきた頃に、例の弱小人材紹介会社のデブ中年のノドオから再度誘いがあった。

★給料5万バーツ(税引き後に4万5千バーツ)
★正社員として業務全般に携わってほしい
就労ビザおよび労働許可を支給

という条件で。


入社を承諾した俺は見事にジョブホッピングに成功し、給料は1.5倍となった。
俺のサクセスストーリーはこれからだ。
 



 
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