帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

海外転生11-タイに行ったら本気出さなくてもやっていける

「海外転生」

それは日本で自らの行いが原因で居場所が無くなった者、能力が無く努力をしないのに自分はどうして評価されないのか現状に不満を持つなどの社会不適合者が新たな新天地として海外に活路を求め新しい人生を歩むこと。

この話はタイでなら俺でも勝ち組になれると信じてやってきた無職で職歴も無い自意識過剰な男の実話。
 
 
「あの女さっきからずっと俺の方ばかり見てるけど、ブスは勘弁してほしいですね。」(シパタケ談)
 


第10話 タイ法人の代表(代理)就任


俺がノドオの人材紹介会社にエクゼクティブアドバイザーとして入社して
3ヶ月経過した。
 
最初は何も知らないノドオに人材紹介ビジネスのノウハウなどを指導してやるだけだった。
 
しかし最近はアドバイザーたる俺に対して「営業活動もしてほしい」「求人元の企業に紹介する人材を選別してほしい」などと契約外の仕事をさせようとするノドオに少しイラついている。
 

ノドオの会社の売り上げが増えないのは紹介できる人材が少ないからで、俺には関係ない。
タイ人向けの募集広告を増やせばいいんだよ!


そういえば入社時に取得してもらった俺の就労ビザの期限がそろそろ切れる。
 
ノドオにビザ期限の延長について問いただしたところ、思わぬ返事が返ってきた。


シパタケさん。すみませんビザの延長は出来ません。次の仕事を紹介しますので辞めてもらえませんか?


ノドオは計画的に俺を3ヶ月でクビにするつもりだったのだ。
俺の人材紹介会社のノウハウだけを目的に雇いノウハウを得れば解雇するつもりだったのだ。

だまされた俺が馬鹿だった。
 
 
詰め寄る俺にノドオは次の仕事を紹介できるまで、「俺に給料を支払う」というので大人しく我慢しておく。
しかしこんな卑劣なノドオは許せん。
 
本来ならおれの「ギャラクティカマグナム(右パンチのこと)」を食らわせてやるところだ。


 
最初にノドオに紹介されたのは日系の運送会社(引越し専門)だった。
タイ人面接と日本人面接を順調にクリアし、採用に向けて細かい条件を確認すると、給料は6万バーツだが入社保証金6万バーツとあった。

入社するときに6万バーツを納める必要があるそうだ。
理由を聞くと、会社に損害を与えた場合に備えてあらかじめ納めさせるらしい。
信用が出来ないのか!と俺は抗議するも、入社保証金は絶対条件ですとの回答だ。

 
正直なところ6万バーツの給料は欲しい。
しかし今の俺には現金6万バーツを支払えない。
 
なので「社員を信用しないような会社には入社しない」と断固拒否した。

本当にノドオはロクな会社を紹介しない。こんなことで人材紹介会社などやっていけないだろう。
 
近いうちにこの会社は潰れるに違いない。
 


その次に紹介された会社はプレス機械を販売する設立されたばかりの会社でプレス機械販売の営業の仕事だった。
給料は5万バーツだが、機械を売ればコミッションを出すらしい。

売れる機械の種類や値引き額によって払えるコミッション額は異なるそうで、正確な金額や割合については無かった。
 
プレス機20台が同時に売れることもあるので高額のコミッションを得られるチャンスはあるそうだ。

 
面接は日本本社社長がバンコクに来て行われた。
タイに進出したばかりの会社なので俺はタイの事情やタイ語に精通することを面接でしっかりアピールしたのが功を奏し、その場で採用が決定した。
 
日本本社の社長に気に入られたようだ


このプレス会社は日本本社の社長が日本とタイを往復しながら管理するそうで、俺がタイ法人で初めての常駐日本人社員となる。
 
社長が日本に戻っている間は俺がタイ法人の実際のトップである。

社長が日本に戻っている間は会社の運転手付きの車を使い放題。出社・退社時間や休みについて誰にも文句は言われない。

 
社長がタイに来ている間だけ、社長のお世話や指示に従うが、社長が日本に戻れば俺が代表だ。

毎晩夜中の3時までテーメーで過ごして、朝に出社して社長からのメールに返信してから事務所か、「営業」と称してラヨーンの工業団地に向かう車の中で寝る。
(ラヨーンに着いたらカフェで時間をつぶしてからバンコクに戻る)

 
俺のサクセスストーリーを歩み続ける。
待遇は格段に良くなったが収入は変わらないのでそろそろプレス機械を売ってコミッションを稼ぐべく社長にフリーペーパーに広告を大々的に出すよう進言した。

しかし入社3か月目頃から社長の俺に対する態度が少し変わってきた。
 

 
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