海外転生8-タイに行ったら本気出さなくてもやっていける
「海外転生」
それは日本で自らの行いが原因で居場所が無くなった者、能力が無く努力をしないのに自分はどうして評価されないのか現状に不満を持つなどの社会不適合者が新たな新天地として海外に活路を求め新しい人生を歩むこと。
この話はタイでなら俺でも勝ち組になれると信じてやってきた無職で職歴も無い自意識過剰な男の話。
「タイ語学校なんて行ってませんよ。自分の場合は周りのすべてのタイ人が先生ですから。英語の場合もそうでした。」(シパタケ談)
第7話 日系企業の発展に貢献する俺様
タイの日系人材紹介会社に就職し1年が経過した。
最近は日本人求職者の面接や求人元企業への紹介などの仕事も任されている。
毎日のようにやって来る日本人求職者の面接をして思うのだが、この会社にやってくる日本人求職者で使えるヤツはかなり少ない。
タイ語で挨拶すら出来ないのにタイで仕事を探すなど考えられない馬鹿な求職者も多い。
普通なら日本から乗ってくる飛行機の中で会話帳でも見て、挨拶ぐらいは覚えるものだが、それすら出来ないヤツが多い。
なので面接の際にはそんな求職者には俺様が説教をしてやる。
そのほかに以下のような馬鹿な求職者を指導してやるのが俺の仕事だ。
★英語が出来るからといってタイ語は覚える必要が無いと言うヤツ
★ロクな職歴も無いくせに一流大学を出ているので強気な希望給料設定をする若造
★2年しか職歴が無いのにその分野の専門家のように自慢する若造
★ネクタイもしないで(人材会社の)面接に来るヤツ
★タイ人の女連れで(人材会社の)面接に来る男
★経験のある職種しか就きたくないとワガママ言うヤツ
★面接官の俺にタメ口をきくヤツ
こんな馬鹿みたいな求職者に仕事を紹介してやっているのだ。
俺よりタイ語が出来る求職者なんてほとんどいない。
優秀な俺が求職者を選別して紹介してやることでタイの日系企業に貢献してやってる。
まさに俺の活躍無くしてタイの日系企業の発展は無い。
タイの日系企業の発展に寄与する仕事は「タイの勝ち組」の俺にふさわしい。
しかし俺の給料は俺の活躍に比べてふさわしくない。
と言うか入社してから1年経過しても入社時の3万バーツから1バーツも増えていない。
そろそろ俺の能力に見合った給料を要求すべきだろう。早速オダと給与アップについて交渉した。
オダ:
おいシパタケ。お前は給料アップなんて要求できる立場じゃないからな。
何だお前その不満そうな顔は。じゃあ聞くけど
お前先月は何件の新規求人案件依頼を企業様から営業してとった?
お前が企業と求職者をマッチングして何件の紹介案件を成功させた?
今まで何人の求職者を面接途中で怒って帰らせた?
今までお客様からお前に何件の苦情があった?
先月お前は何回遅刻した?
シパタケ:
それは登録に来た求職者が能力が無いから紹介出来ないからで・・・
お客様の苦情も紹介したタイ人の能力が無いから・・・
オダ:
おまえは昇給以前にクビにならないだけで感謝してほしい状態だからな!
クソッ。オダの野郎はクロセばかりかわいがって俺を目の敵にしやがる。
こんな会社に居ても俺の能力が正当に評価されないようだ。そろそろジョブホッピングでもしようか。
と言っても自分では転職先も探せないから・・・・・・競合の日系人材紹介会社に登録して転職先を探すことにした。