帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

海外転生1-タイに行ったら本気出さなくてもやっていける

「海外転生」
 
それは日本で自らの行いが原因で居場所が無くなった者、能力が無く努力をしないのに自分はどうして評価されないのか現状に不満を持つなどの社会不適合者が新たな新天地として海外に活路を求め新しい人生を歩むこと。
 
この話はタイでなら俺でも勝ち組になれると信じてやってきた無職で職歴も無い自意識過剰な男の話。
 
 
 
 
【もっと早くキックに転向していれば上に行けただろうって言われましたけどね。】(シパタケ談)
 
 
 
 
プロローグ
 
 
俺の名前はシパタケ34歳。昨日から無職になり住む場所も無くなってしまった
  
 
俺は高校卒業後にプロボクサーになるために上京し、大手ジムに所属し世界チャンピオンを目指してプロデビューした。
 
しかし4年間の努力も空しく結果を出せなかった俺はトレーナーの勧めでムエタイに転向した。
 
2年間ムエタイ選手としてバンコクを中心に転戦したが全く勝てなかった。
 
引退後は日本ランカーにもなれなかった俺は実績が無いのでトレーナーにもなれず、これといって職歴も無いので他の業界で正社員になれず、結局所属していたボクシングジムにお情けで職員として働かせてもらっていた。
 
 
俺がボクシングジムで職員の仕事を得ることが出来たのはムエタイ時代に2年間タイでの滞在経験がありタイ語もそこそこ出来る。そしてタイのボクシングジムにもコネがあるからだ。
 
俺のジムでの普段の仕事はフィットネス会員の会費徴収や事務処理担当。
しかし俺のメインの仕事は年に何度か、ジム所属の期待の日本人選手の「噛ませ犬的」な対戦相手として丁度良いボクサーをタイやフィリピンで見繕って交渉の上で来日させ、無事試合を済まして帰国させるまでコーディネートすること。
 
普段の仕事はつまらないが、1年に数回はジムの金でバンコクやマニラに旅行が出来るので気に入っている。
海外出張の多い仕事をしているというとキャバ嬢の反応も良い。
 
 
そんな順調な生活を送っていた俺にとって人生を左右する大事件が発生する。
 
招へいしたタイ人ボクサーが試合当日に逃げ出したのだ。
 
 
ヤツの計画的犯行だった。(当時は)タイ人の日本行きのビザは厳しく、日本で不法就労目的の貧乏人には日本行きの観光ビザは下りない。
ヤツは最初から日本で違法就労が目的だったのだろう。
 
こういった事故を防ぐために俺がジムに雇われていたのだ。
 
招へい選手の日本滞在中は終始付きっ切りで外国人選手の側に居ないといけなかったのだが、従順そうな相手に油断してパチンコに行った俺が甘かった。
 
試合不成立で怒り狂う会長。
 
罵声とともに殴られた俺。
 
殴られた後も俺は雨の中、逃げたタイ人ボクサーを探すために一晩中さまよった。
 
 
セミファイナルとは言え、興行に穴を空けた原因を作った俺は翌日会長にクビを宣告された。
 
住んでいたジムの2階から俺は即日追い出され、同時に済むところも失なうことになった。
 
 
これからどうしよう・・・
 
住み込みで働かせてくれる飲食店でも探そうか・・・
 
しかし飲食店はダサい・・・
 
 
仕事を新しく見つけるにしても、まず住む場所が必要だ。
新しく部屋を借りて仕事を探し、その後1か月間無事に働かなければ給料はもらえない。
とすれば最低でも2ヶ月は生活するお金が必要だ。
 
俺に残された貯金が尽きる前に仕事を探してから給料をもらうまで耐えることが出来るだろうか?
 
 
 
そうだ!
無事に試合を済ませてタイ人ボクサーを一緒に連れて帰るはずだったタイ行きの航空チケットが俺にはある。
 
マルチの観光ビザも残っている。
 
 
タイに行こう。
 
 
俺はタイ語が出来る。
英語も出来る。
 
タイは物価も安いし女も安く買える。
 
タイで仕事を探してタイで勝ち組になろう。
 
 
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34歳で不幸にも突然「無職」になった俺はこれからタイで生きていくことに決めた。
タイなら本気を出して頑張らなくても勝ち組になれるかもしれない。
 
 
 
 
 
このお話はフィクションではありません。
 
今でもタイに滞在中であろう実在の人物の実話です。
彼が語った出来事に多少想像を盛り込んでいますが。
 
 

シパタケのイメージ