帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

タイ沈没史第30話 レックと戦う2

レックと戦う2 タイ沈没史第30話


公開日 2015年1月1日 レックから逃げた男は追いかけるレックと対決する。しかし肝心のビーは男と一緒に住むつもりはあるのか?  




以下の記事は2011年5月ごろの回想録です。


タイ沈没2,570日目ごろ


レックと戦う2

俺が「レックの元に戻らないこと」を宣言したことに対して刃物を振り回して「手首を切って自殺する」と暴れだしたレックだったが、そもそもゼスチャーに過ぎず、少し落ち着いたので場所を変えアパートに戻って話し合いをすることになった。

アパートに着いてからレックはトイレに入ったしばらくまま出てこなかった。
早くしろよと思いながらも、しばらく待っているとレックはふらふらしながら出てきて、俺が日本で買ってきた市販の風邪薬 新ルルエースの空瓶を見せた。

俺が数年前に日本で買ってきた風邪薬はたぶん10錠ぐらいしか残っていなかったと思う。それをトイレの中で飲んだようだ。
さらに床掃除の洗剤も飲んだらしい。

俺の前で自殺するゼスチャーの続きが行われた。

風邪薬を10錠飲んだぐらいですぐに死なないと思うが、取り急ぎ最寄の病院の救急車を呼ぶ。
タクシーで連れて行っても良いがレックの70kgの巨体が抵抗すると面倒だからだ。

待つこと15分。救急車が着いたのかと思ったが、寝起きのような声の救急車のドライバーから、だるそうな声でそこ何処?と電話があった。
緊急性ゼロのテンションの救急車ドライバーにアパートの場所を連絡すると、さらに待つこと20分後救急車は到着した。
(その病院まで歩いても35分はかからない)


これがレックのなんちゃって自殺未遂だったから良かったが、本当に緊急事態かつ急病患者だったら最悪である。
緊急患者は自家用車もしくはタクシーで運ぶのがタイではベストの選択だ。(医療費を払った際に救急車代600バーツが請求されていた)タクシーの方が安くて早い。

病院に到着後、検査したところ胃洗浄するまでも無いようで、簡単な処置をしてそのまま入院となった。
命に別状は無いが、床の洗剤が胃に悪影響があるためしばらく食事は控えるようにとの事だった。

その日はレックの付き添いで病院に泊まった。とりあえず退院まで付き合ってやるのと、入院中に話をつけようと思った。


◎ふたたびビーに傷つけられる


翌朝、ビーに電話をすると「電源が入っていない」メッセージが。
午後にもう一度。さらに夕方に電話しても「電源が入っていない」メッセージだった。

またやられた。 

バンコクに来て俺と住む約束をブッチするために電話番号を変えたのだ。
レックと別れて修羅場も乗り越えてビーを迎えようとした俺が裏切られた。

息苦しい。

呼吸が十分に出来ない。

涙も止らない。

入院しいているレックのベットの横のソファーで横になりながら俺は泣いた。
息苦しさは収まらない。全力疾走したあとのようにハアハア息をしながら泣いた。
その日はとうとう眠れなかった。

翌日、病室でレックから「かわいそうな私の元に戻ってきて」といった説得をくどくど受けた。
苦痛だった。

幸い、俺の財布からはみ出しているセブンイレブンのレシートをレックが見てから諦めてくれた。

そのレシートは先日、新居にカラオケ嬢を招いた際に購入したコンドームのレシートだった。

カラオケ嬢(ウドンタニ出身ネーンちゃん23歳) ありがとう。お礼にもう1回招いてあげよう。
ということで、ひとまずレックはあきらめてくれたようだ。

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