帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

腹上死して生まれ変わってタイ人に33話

生産機械メーカーのタイ法人に勤務するユウイチは泥酔しながらも若いゴーゴー嬢をホテルに連れ込み行為の最中に突然死してしまう。

死んだはずのユウイチは目覚めたとき、タイ人中学生の【アット】になっていた。

第1話はこちらから
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第33話 アットの資金計画



アルバイト先のレストランで働く美少女オイに言い寄った結果、オイの彼氏とおぼしき男にボコボコにされたアットは1週間入院し、退院するも顔の傷やアザが酷く、しばらく寮で療養することになった。


襲った相手の特定は可能だが、タイではこういった個人間の問題には死人が出ない限りは警察はほとんど対応してくれない。
警察署に被害届を出すだけ時間の無駄なので警察には行かなかった。

学校にはケンカに巻き込まれたとだけ報告し、2週間ほど休むことだけ伝えている。



今回は本当に災難だった。

背中や足のケガはすっかり良くなっているが、骨折した鼻と右目の回復状態はよくわからず、来週眼帯を取ってみないと視力がどの程度回復するかもわからない。


右目が失明する不安を抱えながら、部屋に籠って今後のことについて色々考えてみる。


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今回襲われたのはアットがオイに言い寄ったのが原因ではあるが、そもそも夜のアルバイトが良くなかったと思う。
アルバイトは長期休み期間中のみとし、普段は勉強に専念する。


現在貯金が4万バーツあり、日本には定期預金が90万円ある。
円高がピークに達する1995年の前半に日本に行き、預金を下ろして為替状況を見ながら1ドル80円付近になった時点でバーツに交換する。

日本への航空券の購入代金を除いて2万バーツ。
1995年の半ばまでの2年間の生活費は5万バーツ程度。

不足分の3万バーツは長期休暇中に稼ぐことにする。





円高以降で資産を増やすチャンスは前世で俺が新入社員の年の1997年に発生したアジア通貨危機
前世でタイに赴任した直後の上司からはアジア通貨危機で部品の輸入や製品の輸出が滞って苦労した話を良く聞いた。

それまでドルペッグ制を採用し、1ドル25バーツで固定されていた為替レートであったが、保有外貨の少ないタイの中央銀行がバーツ売り圧力に屈して変動相場制に変更したことでバーツの価値が一気に半分になった。


海外の投資家がバーツを空売りしたことが大きな原因であったため、空売り決済のためバーツが買われて1ドル30バーツ付近まで戻ることになった。


これを利用するために1997年に出来るだけ多くの現金を貯め、タイミングよくドル買い、ドル売りを行えば資産が2倍になるはずだ。

しかし1997年は就職1年目なので貯金もあまり出来ない。
なので日本で貯めたお金を出来るだけ残して1997年に備えなければならない。






他に何か、お金になるような記憶は・・・・



競馬には詳しく無いが、学生の頃ナリタブライアン3冠馬になったと騒がれていたのを覚えている。

インターネットが無いので調べられないが、ナリタブライアンが勝つはずのG1レースに合わせて日本に行き、馬券を買えばお金を増やせるはずだ。





次回の長期休みにバンコクに行く際に日本の競馬でG1レース開催時期や競馬新聞の入手についてアルバイト先の会社に相談してみよう。

第1話はこちらから