腹上死して生まれ変わってタイ人に17話
生産機械メーカーのタイ法人に勤務するユウイチは泥酔しながらも若いゴーゴー嬢をホテルに連れ込み行為の最中に突然死してしまう。
死んだはずのユウイチは目覚めたとき、タイ人中学生の【アット】になっていた。
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第17話 コンケンの日本語通訳事情
先日受けた日本語能力検定試験の試験結果が郵送されてきた。
試験結果は当然合格であったが、合否判定に合わせて各区分の得点も表示されている。
文字・語彙 100/100
文法・読解 192/200
聴解 100/100
合計 392/400
合否判定基準については70%以上の正解率で合格。
中身は日本人なので本来は満点を取らなければ恥ずかしいところであったが、国語の苦手なユウイチは文法・読解で1問か2問間違えたようだ。
日本語検定2級に合格したことをまずモッドに告げる。
「アットなら当然ね!」
既に合格のご褒美の前渡しとしてセックスを何回もさせてもらっていたし、今日もこの後でスッキリさせてもらおう。
これまでずっと野外でのセックスばかりだったので、たまには柔らかいベッドの上でシャワーを浴びて綺麗になったモッドとゆっくりセックスがしたい。
しかし、寮生活の高校生にとってベットの上でセックスできる場所など無いし、コンドームを買うお金すら無い。
3年後にコンケン大学に通う学費も必要だし大学生になったら安くてもアパートを探して独り暮らしがしたい。
ということで俺はお金を稼がなくてはならない。
日本語検定に合格したので早速日本語を使ったアルバイトを探すことにした。
コンケンの街で日本語通訳の需要があるかどうか心配だ。
周辺の観光地を含めて日本語通訳の需要が無いか調べてみる。
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コンケンにある旅行会社に、日本語が出来ますので日本語通訳をしますので使ってください! とお願いするが、まず俺の日本語能力を信用してもらえなかった。
「は?だから?」
それ何?という反応だった。
コンケンで日本語通訳と言えばコンケン大学の日本語学科の卒業生か在学生。
もしくは日本留学経験者か、日本での就労経験者しかいなかった。
俺のような高校生が日本語を話せるなんて信用してもらえないし、たとえ話せたとしても若すぎる高校生の通訳を大事なお客に紹介出来ないらしい。
しかも重要なのは観光業で活躍する通訳は女性であること。
若くてかわいい女性通訳の需要が高い。
それも利用者が日本人観光客やビジネスマンといった男性客が圧倒的多数なので通訳には若くてかわいい女性が求められる。
逆に若くて可愛い女性通訳であれば日本語能力は低くても客は満足してくれる。
したがって俺のような男子高校生の日本語能力を確かめるまでも無いらしい。
そもそもこの当時のコンケンを訪れる日本人は僅かであり、稀に日本語通訳を依頼されても、コンケン大学の日本語学科在学中で通訳登録をしている学生がいるので間に合っているらしい。
どこの旅行会社に行っても大学の日本語学科の卒業生か在学生、日本への留学経験者でないと通訳の仕事はさせられないと断られた。
タイで日本語を使って仕事をするには日本語能力より日本語を学んだ経緯が重要ということが分かった。
ヤバイ。このままではコンケン大学の学費が払えなくなる。
あ!そういえば【ユウイチ】だった頃に取引先のタイ人スタッフが高校の時に交換留学生として日本に留学したというのがいたなあ。
今の時代でも(1990年)でも日本に行く交換留学生制度はあるのだろうか?
インターネットが普及していないので自分では調べることが出来ない。
タイ人の先生やユミ先生に日本への交換留学について調べてもらう。
日本留学経験だけでも手に入れなければならない。
出来れば日本でアルバイトしてお金を稼ぎたい。