帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

コールセンターの⑨ 5話

「タイのコールセンター」
それは日本人でさえあれば年齢・学歴・経験・語学力を問わず誰でも就くことのできる仕事。
経費削減のために日本の労働法を遵守する必要も無く低賃金で雇用できるタイで日本人を低賃金で雇いコールセンター業務を行っている。
そんなタイのコールセンターで働く一人の男性の物語。




第5話 コルセンのためのタイ移住心得


バンコクのコールセンターへの採用が決定したシパケイはバンコクに向かうこととなった。
入社説明会で数分話をしただけで採用され、入社予定日は第1月曜もしくは第3月曜のどちらでも良く、事前連絡も不要だと言われた。

こんな口約束で海外に移住するのは不安になると思うのだが、説明会で渡された冊子には、海外移住の心得や入国手続き、バンコクのスワナプーン空港の到着ロビーからタクシー乗り場への案内図や、事務所に向かう際にタクシードライバーに説明するためのタイ語説明付きの地図など分かりやすく記載されていた。


説明会で渡された新任者のためのタイ移住心得
●入社してすぐに給料は支払われません。アパートの保証金も必要なので出来れば20万円以上はご用意ください。会社から給料の前払い等は一切受け付けません。

●タイへの航空チケットはご自身で購入してください。渡航から出社までのホテルもご自身で予約・支払いをしてください。チケット購入やホテル予約に関する相談を会社にしないようにお願いします。

●飛行機が出発する3時間前には空港に到着するように余裕をもって行動してください。飛行機に乗り遅れても会社では対応しかねます。

●飛行機に乗る際は花火や大量のライター持ち込みは出来ません。
空港で没収された物品について会社は一切責任を持ちません。

●日本の携帯電話をそのままタイで使用すると通話料や通信料が高額になります。通信料や通話料は会社では一切負担しません。

●空港から会社までの経路は57ページの地図をタクシードライバーに見せてください。意思の疎通が出来ないからと言って会社には電話しないでください。

●出勤初日はオリエンテーションを行います。当日に飛行機で到着される方は機内での飲酒を控えてください。ひどい場合は帰っていただくことがあります。

●会社の女性タイ人スタッフに不用意に触れる行為はセクハラとみなして場合によっては警察に通報します。

●シフト勤務といえども無断欠勤は許されません。旅行気分では無く社会人として自覚を持ちましょう。

●会社に酔っぱらった状態やドラッグを使用した状態で出勤してはいけません。場合によっては警察に通報します。




タイ移住心得と言うより・・・今までタイの新任者が起こした問題に対して会社が予防線を張っているだけのような気がするが、
シパケイは特に深く考えずにチケットを購入し、両親にはしばらくバンコクで働くことを電話で告げて日本を出発した。