帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

シパトモのタイ起業15

【シパトモのタイ起業】

35歳にしてタイの風俗にはまってしまったシパトモは彼の妻に対してタイに長期滞在する理由を作るべくタイで起業する。
彼にとって必要なのは事業で利益をあげることではなく、ただタイに来る理由だけであった。



第14話 アレックスくん

インターネットカフェ「ミューミューバンコク」は靴屋の2階に移転存続させるため、パソコンを提供したが2階部分の改装は一向に開始されない。
タイに行った際にヤマフジくんと食事をし、彼に協力を求めることにした。(靴屋を紹介したのは彼の妻)


ヤマフジくんは現在欧米系の企業に就職し、アルカディアのアラフォーチーママとの間に男の子が生まれて公私共に忙しいらしい。

息子の名前はアレックスと名づけたそうだ。

20代で高学歴のイケメン日本人と、40代のタイ人女性で大学生に通う息子を連れ子に持ち、顔立ちは美人だが小じわの目立つガリガリですぐに激情する茶髪ババアの子供の名前がアレックスというのは違和感がある。

本名ではなくニックネームかと思ったが、ヤマフジくんはババアときちんと入籍し、正式に日本の戸籍に「長男 あれっくす」と登記したそうだ。

名前を「アレックス」と日本大使館に認めてもらうために苦労したエピソードを彼は熱く語ったが、本名がアレックスということのインパクトが強すぎて内容は覚えていない。


会食の後はヤマフジくんとタニヤのアルカディアに行った。
ヤマフジくんは彼の妻から(何故か)アルカディアに行くことだけは認められているそうだ。

その日は入店するとすぐにヤマフジくんの横に選んでもいないのにカラオケ嬢が座った。その子がお気に入りの娘なのだろう。
しかしヤマフジくんはその娘とイチャイチャするでもなく、ヤマフジくんが歌いだすと彼を置いてカラオケ嬢は席を立ってしまった。30分ぐらい後に戻ってきて一言。 ソムタムが辛かった。

せっかくタニヤに遊びに来て、こんな状況(お店限定、カラオケ嬢限定、しかも放置される)でヤマフジくん自身が楽しいのか分からない。彼なりの事情があるのだろう。
その日彼は子供の話題ばかりを話し、靴屋でのミューミューバンコク再開についてヤマフジくんの協力は結局得られなかった。



日本に帰国後、妻に「どうしてタイに行く必要があるのか」と何度も尋ねられた。
店が儲からないなら閉店して資産を処分しろと言われているが、すでに店は無く、資産は全く残っていない。
仕方なくインターネット店の商売は軌道に乗り少しは利益を上げていると妻には説明している。
すると利益があるなら向こうでの滞在費は不要だよねと次回からのお小遣いを減らされることになった。

しばらくタイに行けそうにない。