シパトモのタイ起業13
【シパトモのタイ起業】
35歳にしてタイの風俗にはまってしまったシパトモは彼の妻に対してタイに長期滞在する理由を作るべくタイで起業する。
彼にとって必要なのは事業で利益をあげることではなく、ただタイに来る理由だけであった。
第12話ミューミューバンコクの灯を消すな!
空港が閉鎖されて帰国便がキャンセルになるような不安定で危ない国に行かないでほしいと願う妻に
「今お店を立て直さないと折角の投資が無駄になる」
と半ば強引にタイに来ているが、ネット店の閉店が妻に知られると、ただでさえ混乱の続くバンコクに来る理由がなくなってしまう。
現在のバンコクは「ボーナスステージ突入状態」なので来ないわけにはいかない。
「ボーナスステージ」とは外国人向け繁華街で外国人観光客が激減したことにより需要(外国人)に対して供給(夜の女性)が大幅に上回った状態である。
このボーナスステージに伴い以下状態を言う。
★どの時間帯に行ってもかわいい娘が多い
★強気の値段の交渉が可能
★年配の女性が淘汰され平均年齢が下がっている
特にテーメーは顕著で、深夜1時を過ぎれば各所(ゴーゴー、カラオケなど)から売れ残りの娘が客を物色しており、交渉によっては1500バーツで一晩すごしてくれることもある。
ということで今後もバンコクに来る理由のため何らかの形でネットカフェの存続させなければならない。
現状の売り上げでは家賃の支払いすらままならず、ヤマフジくんへの給料などとても払えない。
閉店が決定して以降ヤマフジくんはバンコクで再就職先を探してもらっているので新たにタイ人責任者を雇い営業を継続することも考えたが、毎月3-5万バーツの赤字補填は経済的に難しい。
閉店が決定して以降ヤマフジくんはバンコクで再就職先を探してもらっているので新たにタイ人責任者を雇い営業を継続することも考えたが、毎月3-5万バーツの赤字補填は経済的に難しい。
小規模な店に引っ越しても、投資が必要な割りに黒字化する保証も無い。
最もノーリスクな方法としてミューミューバンコクの店舗名だけを受け継いでくれる先を探すことだ。
クロントゥーイにある靴屋の2階でネットカフェ引継ぎの交渉が行われた。
以上の条件で合意し、早速パソコンなどの会社の備品を運び込んで、靴屋さんが2階を改装してくれるのを待つことになった。
しかしシパトモのタイ語力では意思の疎通が難しく、どこのネット店に行っても、店舗オーナーにすら取り次いでもらえない。
たとえオーナーに会えても、店の名前だけ変えてもらう要望について誰も理解してくれなかった。
オーナーに店の名前を変えるようにお願い = 店舗を売却
としか理解してもらえないのだ。
毎朝ぼくの味噌汁を作ってください = 求婚
と同じ原理で。
そもそも店の名前を変えることで何のメリットが自分にあるのかを伝えるのは、初対面の相手では日本人同士であっても難しい。
それをカタコトのタイ語と英語で相手に伝えるのは不可能だった。
それをカタコトのタイ語と英語で相手に伝えるのは不可能だった。
シパトモの努力も空しく、ミューミューバンコクの(名前だけの)存続計画は実現しなかった。
ついでにミューミューバンコク クロントゥーイ店も開店することは無かった。