帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

シパトモのタイ起業11

【シパトモのタイ起業】

35歳にしてタイの風俗にはまってしまったシパトモは彼の妻に対してタイに長期滞在する理由を作るべくタイで起業する。
彼にとって必要なのは事業で利益をあげることではなく、ただタイに来る理由だけであった。



第10話 アルさんとミキさんとの決別



アルさんは「警察の指導」で営業不可とされた2階の個室部屋とパソコンを自分の事務所として使い、
ネットカフェの従業員を雑用として自分の仕事の手伝いをさせている。
さらに会社の口座から毎月3万バーツを自分の報酬として徴収するが、集客活動やお店の運営に全く貢献していないアルさんを排除し、代わりにヤマフジくんを店長にすることに決定した。


これまでの既得権をアルさんが手放さないので波乱が起きることを覚悟していたがアルさんは簡単に納得した。
彼にとってもう投資をしなくなった会社に旨みは無いのだろう。
しかし意外にもミキさんが涙を流しながら抗議した


私は自分のネットカフェを開店するのが夢だったんです。そして店の名前をカーウェラー(時間殺し)という名前をずっと前から決めてました。

やっと夢が実現したのにお店が人のものになるのは残念です。今回の件は納得しましたがカーウェラー(時間殺し)という名前は譲れません。なので会社名を変えてください。


泣くぐらい大切なお店なら少しは売り上げ増加のために努力しろよ!と突っ込みたくなったが以下の合意がなされた

★会社名カウェラを変える
★代表社名、株主名簿からアルさん、ミキさんの名前を削除する
★アル・ミキの出資分10万バーツを返金する

手切れ金のように10万バーツを支払い双方は合意し、ネット店の管理はアルさんからヤマフジくんの手に渡った。

アルさんから会社名変更および代表者変更、株主名義変更など会わせて20万バーツで手続きをするという提案は丁重にお断りしておいた。
(会社の会計処理を請け負ってもらうタイ人会計士さんにすべて合わせて1万バーツで変更してもらった)


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ヤマフジくんは引き継いでから数ヶ月でお店の収益改善のために努力をし、売り上げ増加と経費節減に努めた過程で以下のアルさんの「セコい」不正が明らかとなった。


★家賃を5,000バーツ水増しして請求していた
★スタッフに命じて売り上げの一部を着服していた
★店の前で営業していたクイッティヤオ屋台から電気代として1000バーツ徴収していた


インターネット管理ソフトには従業員がメンテナンスのためにパソコンをログオンにする機能があり課金(利用)モードにしなくてもパソコンが使用可能になる。
従業員に指示してある一定の時間のある一定の客に対してこの機能を利用し、お店の売り上げを店舗管理ソフトに反映することなく集金した代金を自分のポケットに入れていたのだ。

従業員に問いただすと、週に2-3日、1日当たり数百バーツのお金をポケットに入れていた。実にセコい。
家賃の水増し5,000バーツは別として、インターネット利用料の数百バーツそして店の前の屋台から電気代として毎月1,000バーツ徴収・・・・

ヤマフジくんの努力でアルさんの(セコい)悪事が明るみになり店舗の売り上げは上がり支出も減った。
しかしアルさんの報酬3万バーツ分は減ってもヤマフジくんの報酬5万バーツが増えたので店の収支はまだ赤字のままだった。