帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

シパトモのタイ起業7

【シパトモのタイ起業】

35歳にしてタイの風俗にはまってしまったシパトモは彼の妻に対してタイに長期滞在する理由を作るべくタイで起業する。
彼にとって必要なのは事業で利益をあげることではなく、ただタイに来る理由だけであった。



第6話 アルさんからの追加出資要求


タイでインターネットカフェのチェーン店「ミューミューバンコク」の1号店が営業を始めて4ヶ月が経過するが、1日当たりの売り上げ目標である5,400バーツ(目標パソコン稼働率30%相当)の半分しか達成出来ていなかった。


シパトモは売り上げを増やすために以下の対策を行った。

★お店のWebサイト制作(Web制作発注)
★ビールの販売(酒販売許可取得)
★店内のフリースペースにて催し開催
★日系フリーペーパーに広告
★日本人が集まる場所にパンフレット配布

最初の2項目はアルさんは積極的に対応してくれた。(発注が伴うため)その他は「そのうち対応します」と放置されていたので、店番をしているタイ人スタッフさんにお願いしてゲーム大会の告知を作成してもらい、日本から持ってきたゲームキャラクターグッズを賞品にして何度かゲーム大会を開催した。

その他にも自費で日系フリーペーパーに広告を出したりパンフレットを配布するが、なかなか集客に繋がらない。
売り上げが伸びない中、焦りながらも夜はしっかりゴーゴーバーやテーメーカフェでの夜遊びを満喫しつつ開店4ヶ月を迎えたころにアルさんからのメールを受け取った。


シパトモさん。お店の資金が底をつきました。今月の家賃が支払えませんので至急送金をお願いします。
遅くなりましたが、これまでの収支表です。


これまでアルさんはお店の資金の収支を出すと言いながら全く報告してもらえなかった。
毎日のお店の売り上げは「株式会社デルガ」提供のインターネットカフェ管理ソフトで日本からもオンラインで確認できるので常に把握していたが、残資金についてはアルさんに任せっきりだった。

開店時に20万バーツ私が貸付しておいたので残金は30万バーツと日本円で100万円が残っていたはずだ。
アルさんからの収支報告を確認してみる。




収入一覧

インターネットカフェ売り上げ(4ヶ月分)  300,000バーツ
飲料・軽食売り上げ(純利益)         20,000バーツ
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収入合計                   320,000バーツ



支出一覧

家賃(4ヶ月分)             200,000バーツ
電気代(4ヶ月分)              20,000バーツ
通信費2回線(4ヶ月分)           40,000バーツ
従業員給与(4ヶ月x3名x10,000B)    120,000バーツ
パソコンメンテナンス費           10,000バーツ
会計処理費(4ヶ月分)            20,000バーツ
パンフレット印刷費             20,000バーツ 
パンフレットデザイン費           30,000バーツ
Webサイト制作費             30,000バーツ
Webサイトサーバー費、ドメイン費     10,000バーツ
ディスプレイ看板制作費          20,000バーツ
酒販売許可取得費             20,000バーツ
取締役報酬                120,000バーツ
警察費用                 10,000バーツ
------------------------------------------------------------
支出合計                  670,000バーツ

収支                  -350,000バーツ
残資金開店時               320,000バーツ

現在の残高                  -30,000バーツ



この数字の確認と、不足金の補填のため急遽バンコクに向かい、アルさんにお店の収支について確認してみる。


シパトモさん。今月末支払い予定の家賃5万バーツと未払いのデザイン料の3万バーツの合計8万バーツをお願いします!
(デザイン料はミキさんに支払い予定)

アルさん。これからもお金が足りなくなりそうだったらもう少し早くお願いしますね。とりあえず10万バーツ用意してきましたので私からの貸付ということで処理してもらえますか?

ところでこの収支の最後の方の取締役報酬って何ですか?

これは私とミキの報酬です。この事業のためにフリーの仕事の時間を削って対応しています。2人合わせて3万バーツでも私たちにとっては完全に赤字です!

分かりました。(もっと早くから言えよ!ていうかお前らも経営側だろうが!)最後の警察費用って何ですか?

先日警察が調査に来て色々指摘して許可を取り消すと言われたので仕方なく支払ったお金です。
おかげで営業は認められましたが2階の個室は認めないと言われました。

タイなので色々あるのですね。でもどうして2階の個室がダメなのですか?

タイの風営法で個室空間は淫乱行為やドラッグ使用の温床となるので完全に閉まる扉の個室空間は風俗業許可が必要らしいです。

法律なら仕方ないですがせっかくの2階の個室スペースの2部屋はもったいないですね。

だから私の個人オフィスとして仕方なく利用しています。
ここで仕事をすると従業員管理も楽ですし。

アルさんにはお手数かけてますね。すみませんがこれからもよろしくお願いします。


それにしても毎月のアルさん達の報酬3万バーツは痛い。かと言って全く支払わないと手伝ってくれないだろう。
純粋なネットカフェ経営で2店舗目の開店資金を貯めるのは不可能なようだ。

株式会社デルガに追加出資のお願いをするのとフランチャイズ展開に力を入れることにしよう。



支出一覧のうち下線のある項目はアルさんが一部もしくは全額受け取ったもの
*デザイン費はBy ミキ
*Webサーバーとドメインは無料サーバーを使用