帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

海外転生14-タイに行ったら本気出さなくてもやっていける

「海外転生」

それは日本で自らの行いが原因で居場所が無くなった者、能力が無く努力をしないのに自分はどうして評価されないのか現状に不満を持つなどの社会不適合者が新たな新天地として海外に活路を求め新しい人生を歩むこと。

この話はタイでなら俺でも勝ち組になれると信じてやってきた無職で職歴も無い自意識過剰な男の実話。
 


第13話 間話 プレス機械販売会社のその後


少し後の話になるがシパタケがノドオに紹介され入社したプレス機の販売会社のその後のお話。

そのプレス機販売会社のタイ法人で最初に雇った日本人であるシパタケは全く営業活動をしないで嘘の営業日報を報告し、一日中会社のパソコンでインターネットの白人エロ画像を閲覧ていた。

シパタイの行いを見て、本社社長のヒガシはタイにいる現地採用日本人は全く信用できないと思い込むことになった。(ある意味真実)

本来なら日本本社(といっても関西圏の田舎町の工場)から然るべき人材をタイの現地法人代表兼営業スタッフとして少なくとも1人はタイに常駐させるのだが、中小企業なので人材がいないし、海外に誰も出たがらない。
社長のヒガシもタイには長く滞在出来ないので仕方なくシパタケの代わりに現地採用日本人を新たに雇うことにした。

新しく雇われた現地採用日本人は至って普通のまじめな人であったが、入社直後からあからさまに彼を疑うヒガシの対応や監視カメラによる監視体制に嫌気がさしながらも頑張って営業活動を行った。

しかし彼の営業活動を妨害する事件が発生する。

タイ最大の製造業見本市であるMETALEX THAILANDに出展するために日本から輸送したプレス機械1台は、日本に戻す輸送費がもったいないので展示終了後に大幅な値下げとともにタイの日系工場に販売出した。
しかしタイ国内での機械のメンテナンス体制が出来ていなかった。

メンテナンス要員としてタイ人メカニックスタッフを1名雇っていたのだが、そのタイ人メカニックには機械の図面を渡さなかった。
プレス機械の図面を渡すと、機械に関する企業秘密が盗まれるとヒガシは思った。

その結果、図面も無く、そもそもプレス機械に精通していないタイ人メカニックが油圧系統で油漏れを発見してもどの系統のラインかわからない。
勘を頼りにいろいろいじった結果、機械の調子がさらに悪くなり販売先の会社に迷惑をかけたのだ。

修理してもたびたび故障を繰り返し、修理に対応した唯一のタイ人スタッフも辞めてしまったため全く対応出来なくなった。
タイに存在する唯一の自社機械を購入してくれた会社には呆れられて出入り禁止。
それまで見込み客にプレス機の実機を見せての営業活動も出来ないし、狭いタイの日系プレス業界では修理の対応の悪さなどの悪評も広がったらしい。

 
その後ヒガシは1年ほど日本人営業を何人も交代させながら会社を存続させて営業を続けたようだが、出費に耐えかねてタイからの撤退が決まった。

その後タイからの撤退から数年後に債務超過で日本本社も倒産した。


 
シパタケの仕事ぶりの影響で日本本社の社長はタイ人や現地採用日本人営業を疑う先入観を持ってしまった。
この会社の倒産の遠因はシパタケにあると言える。

 
ちなみにシパタケが入社する次の工場もタイから撤退する。
シパタケが3ヶ月在籍したノドオの人材紹介会社も今は存在しない。

これは偶然だと思いたい。


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