帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

クイーンズパークの陽炎 第13話 タイでの成功を掴むため男は自己紹介する

ぼくらはみんないきている
いきているなら駐在だ
やつらはみんな現採だ
やっぱ現採つかえねえ

高級コンドにドライバー
まいつきもらえる現地給
日本のきゅうりょうまるもうけ
ぼくらは駐在商社マン


寺澤はポイペトに向かうバスの窓からぼんやり外をみながら歌をくちずさんでいた。
 

 



第13話 タイでの成功を掴むため男は自己紹介する

 




寺澤はバスの中を眺める。このバスにはロクなやつは乗っていない。僕ひとりが例外だろう。
だいたいビザランなんかする不良外国人などすべて国外退去にすれば良いんだ。
毎日昼間はゴロゴロしていて夕方から売春婦を探しにいく毎日。
こんなやつらと一緒にされる僕自身が気の毒でならない。


それにしてもこの前の不動産屋はサイアクだった。半日で辞めて正解だったが、かといってこのまま無職でいるのも良くない。
プローイも仕事しろとうるさいし。


明日はパーソ○○コンサルタントという人材紹介会社に登録するアポを取ってある。イケメンで優秀なこの寺澤が登録すればすぐに仕事を紹介してもらえるだろうからこうやってゆっくりバスに乗ることもこれからは無くなるだろう。
 

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翌日、タイ労働省から表彰を受けたというバンコクで一番赤いと評判の人材紹介会社○ー○ネルコンサルタントに寺澤は登録に行った。

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寺澤さんですね。本日は登録ということでよろしくお願いいたします。
まずは自己紹介をお願いいたします。


寺澤ケイイチと申します。東京都出身の38歳です。
現在はバンコク在住で、肉割れ腹の妻と娘がひとり、フランケンが1個います。

三流私立大学を卒業後、日本でATMのメンテナンスの会社に就職しますが、仕事の内容や報酬と自分の理想のギャップが大きく、半年でやめちゃいました。
その後、親の金でタイの最高学府であるヂュラーロングコーン大学に併設されている単なる語学学校に通いタイ語を勉強しました。

そのままの勢いで、ヂュラーロングコーン大学の文学部日本語学科に入学して日本語を学びました。というか、日本人なので学ぶ必要は無いのですが、学位がほしくて入学しました驚くことに同じような日本人も数人在籍しており、大学側もこの奇妙な状況に慣れているようでした。
その甲斐あってタイの最高学府の学生というハイソな称号と、タイの偏った友人に恵まれ、タイ語を武器にブイブイいわしてました。

日本語学科卒業後は数社からのタイで現地採用の誘いを振り切り、日本に帰国し小さな商社に入社しますが、これも仕事の内容や報酬と自分の理想のギャップが大きく、2年でやめちゃいました。

その後は中規模の商社への転職に成功し、念願のタイ駐在の地位を獲得しましたが、ストレスが原因で顔にピンクのブツブツができ、見苦しいので帰国させられちゃいました。

日本帰国後は同じ会社でATMのメンテナンスの仕事をしましたが、これも仕事の内容や報酬と自分の理想のギャップが大きく、やめてタイに来ちゃいました。

どうかこんな僕に合った仕事を紹介してください。

タイ語はスーパー出来ます。なんなら試してみます?
これまでの自己紹介をお坊さんのタイ語でしましょうか?


ジャルンポーンヨーン アッタマー ケイイチ コーラップ


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