腹上死して生まれ変わってタイ人に84話
機械製造会社の駐在員ユウイチは泥酔しながらも若いゴーゴー嬢をホテルに連れ込み行為の最中に突然死してしまう。
死んだはずのユウイチは目覚めたとき、タイ人中学生の【アット】になっていた。
コンケン大学を卒業したアットは前世で勤務していた会社に入社する。
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第84話 復讐
ヌーイの呼び出しを受けたアットは2時間後に到着すると告げたが、30分後には到着し、こっそり店内を観察した。
すると川沿いのテラスで4人で座っているヌーイを見つけた。
男2人女2人でヌーイは横に座る男と親しげに会話している。
アットが予想した通り、ヌーイの【本命】の男と思われる男性ともう1組のカップルが座っていた。
そのままヌーイ達を観察し続けると見つかる危険性もあるため、約束の2時間が経過するまで車で時間をつぶした。
「アット! 遅い! 2時間たったよ!」
ヌーイから催促の電話があった。
「ごめん!渋滞してて少し遅れる。」
待たされてご立腹のヌーイ。
そろそろヌーイの状態を観察すべく、ヌーイの座るテーブルが遠くに見える座席についてビールを注文した。
他の3人は帰ったのか、ヌーイは一人でテーブルに座っていた。
そして10分毎にアットに電話をかけてくる。
「ごめん!事故った。保険屋さんが来たらすぐにタクシーで向かうからちょっと待って!」
「アットの馬鹿! 何時間待たせるの! 急いで来て!」
まだだ。もう少し下手に出ながら様子を見る。
アットが来てから1時間が経過した。
店員が来てラストオーダーを告げた。閉店まであと30分。
「ヌーイごめん! これから向かう待ってて!」
「何やってんの!お店が締まるでしょ!早く!」
まだだ。
20分後再度連絡する。
「もー!何してるの!早く来て!」
「お前俺にどうして命令してんの? 金払ってもらうなら言い方に気を付けろ!」
「どうして~ アット君 怒った? ごめんねぇ 早くアット君に会いたいから」
急にトーンが変わった。
「すぐ行くよ」
といって電話を切った。
すぐにヌーイがかけなおしてきた。
「アット君 まだぁ~? 早くあいた~い」
「気が変わった。お前自分で金払え!」
人が少なくなった店内で観察し続けるとヌーイに見つかるので、俺は捨て台詞をヌーイに残して店を出た。
レストランに新設するパブに移動した。ここからでも辛うじてヌーイが確認出来る。
さっきから何度か着信があったが無視。
何度も俺に電話をかけるヌーイを観察しながらウイスキーを飲む。
レストランには客がいなくなって店員が掃除を始める。
ヌーイが携帯電話で話をしているが俺への電話ではない。
最初にヌーイと食事をしていた男が来てヌーイと口論を始めた。
タダだと思ったのに1万バーツ以上払わされたことに怒っているのだろうか。
面白い光景をつまみに飲むウイスキーは少し甘く感じた。
最後にヌーイにSMSを送信する。
「ごめん 次は絶対に行くから」