帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

コールセンターの⑨ 11話

「タイのコールセンター」
それは日本人でさえあれば年齢・学歴・経験・語学力を問わず誰でも就くことのできる仕事。
経費削減のために日本の労働法を遵守する必要も無く低賃金で雇用できるタイで日本人を低賃金で雇いコールセンター業務を行っている。
そんなタイのコールセンターで働く一人の男性の物語。




第11話 ナンシーとの同棲



ナンシーは俺の提案に同意し、クイーンズパークプラザのバービア【ミャオミャオバー】を辞めた。
というより最後にペイバーをしてから、そのまま帰らずに僕の部屋に住みついてしまった。

僕はナンシーに「一緒に住もう」などと提案した覚えは無かったし、はっきり言って邪魔だ。


すっぴんだとゴリラみたいだし、わきの匂いは強烈だ。
この前なんて部屋の中が妙にインド人臭いと思ったらテーブルの下にあったナンシーが着ていたTシャツが臭いの元だったということもあった。


しかしお店を辞めるとアパートの家賃が払えなくなるだろうからここに住むのも仕方が無いし、彼女は基本的にはきれい好きのようなので我慢する。




「シパケイさん! バービア嬢と同棲をはじめたって本当っすか?」


農協が余計なことを聞いてくる。



「実はスリラーもバカラのゴーゴー嬢と同棲・・というか彼女の家に居候してるそうなんっすよ!知ってました?」



知ってるも何もスリラーとは未だに会話したことが無い。



「スリラーは彼女にゴーゴーバーを辞めるように説得してるんっすけどうまくいかないので相談されたんっすよ」


「スリラーは彼女が帰宅する明け方近くまで起きて待ってて、彼女が帰ってきたらゴーゴー嬢は危険だとか 病気に感染するリスクが
あるとか 将来に備えろ とか言って説得するんですって。」


「長時間説得・・というか説教すると彼女がキレて出ていくらしいっすよ。 それで3日ぐらいしてから彼女が戻ってきて、仲直り。


翌日スリラーがまたゴーゴーバーを辞めろと説教して、彼女がまたキレて出ていく・・・っていうサイクルを1か月続けてるらしいっすよ。」


「ゴーゴー嬢の借りたアパートで、ほぼひとりで住んでいるスリラーって・・・シュールっすよね!」



というかあの無口なスリラーが農協にこれだけの話した事の方が驚きだ。



「バービア嬢の彼女に足を洗わせたシパケイさんがコツを伝授してやって下さい!」



バービア嬢に足を洗わせた・・・といっても、そもそもナンシーと付き合ってるわけでもない。
何もしたこともないし。



「シパケイさん!同棲している元バービアと何もやったことが無いってどういうプレイなんですか!」


「毎日のようにペイバーして最後にはお店を辞めさせて一緒に住んだのに何もしてないなんて。シパケイさんそんな嘘を言って何が
恥ずかしいんっすか?」



バックパッカーは農協に何を話しているんだか。