帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

タイ沈没史第38話 第3回ロイエット訪問

第3回ロイエット訪問 タイ沈没史第38話


公開日 2015年1月1日 ビーに実家の水道水が濁って汚いのでなんとかしてほしいという要望により男は3度目のロイエットに向かう。  




以下の記事は2011年6月ごろの回想録です。


タイ沈没2,600日目ごろ


第3回ロイエット訪問

前回と違い、俺は快適なVIPバスに乗ってバンコク北バスターミナルを出発した。
たった800バーツでこの快適さ。このバスの良いところはバンコクからロイエットに直行してくれることだ。
運転手の気分次第でバスターミナルで無意味に数十分待つことは無いので予定通り到着するであろう。

シートも広く清潔で、リクライニングできる。
俺はバスに乗るとすぐに導眠剤を飲んでバスの中でぐっすり眠った。

翌朝、周囲が明るくなったころに俺は目が覚めた。バスはまだ到着していないようだ。
バスの窓から見る周囲の景色は水ばかりである。そのころイサーン地域一帯は雨季による大雨の影響で洪水となっていた。
道路は冠水し、道路より低い周囲の畑はすべて水の下である。
洪水の影響で冠水した道路をゆっくりと進むバスは到着が遅れているようだ。

予定より2時間ほど遅れて到着した俺はさらなる問題に直面した。
ロイエットのバスターミナル到着直後に、今回のロイエットでの活動資金の一部をATMで下ろそうとしたところ、機械がボロくてカードの出口でATMカードが詰まって出てこない。
頑張ってカードを引っ張り出そうとしていると、機械にカードが飲み込まれてしまった。

さきほど下ろした5,000バーツ含めて残金は8,000バーツのみ。これでロイエット2泊3日の行動費と水処理設備の材料費をまかなわなければならなくなった。
予算不足のため水処理プラントの計画は大幅に変更することにした。

村の共同ため池に設置されたポンプの水圧で各家庭に水が供給されているが、ビーの家の蛇口の水圧はほとんど無い。
なので水の勢いが必要なシャワーが成り立たず、小便のようにチョロチョロ流れる水を水溜めて、そこから桶で水を汲み取って水浴びに使っている。

水道水の圧力が無いため、タンク内に浄化材(木炭、砂、ヤシガラ炭)を入れてそこに水を通過させる方法は無理である。
ビーの家の水貯めに浄化材を沈めておくだけでは効果がほとんど無い。

なので新たにポンプを設置し、貯めた水をポンプで吸い上げて強制的に浄化材の中を通過させるか、ポンプで吸い上げて水をタンクの上部に送り、上から浄化材の中に水を流して下に浄化された水を流す必要がある。

どちらにしても俺の計画ではポンプが必要であった。

俺に残された8,000バーツでは滞在費用を除くと水槽だけしか購入出来ず、ポンプの購入は無理だ。なので浄化水槽を高い位置に据えて
自然勾配で水が流れるように計画変更した。

結論として装置は全く使えなかった。

金だけ使って全く効果無く終わった。悔しいです。


浄水設備の失敗に追い討ちをかけるように、前回のロイエット訪問でビーにプレゼントしたはずの金のネックレスをつけていないのが気になった。

ネックレスはまた質屋に預けた。

お金が必要だったら相談してくれれば良かったのに。

何度も悪いと思った。

こいつらにとっては金のネックレスはアクセサリーではなく単なる資産なのだ。
財布からお金を出すようにネックレスを質に入れる。
金がある限り遊び続けるので、現金が無くなると即質屋行きだ。こいつが金のネックレスを身に着けることは無い。


金のネックレスは

1.(金があることを)誇示するもの
2.非常時の可処分資産もしくは貯蓄として所持するもの

以外の意味合いは無い。
アクセサリーとしてプレゼントした俺の認識は間違いであった。


いずれは換金しようとも、せめて次の訪問にはアクセサリーとしてプレゼントしたネックレスを身に着けていてほしかったが残念だ。


水処理設備の設置が失敗に終わり、さらに折角プレゼントした金のネックレスがすぐに換金されたことに失意の俺だった。

そんな失意を忘れさせるようなインパクトのある来客が翌日あった。

ビーの兄の別れた嫁が、残していった娘に会いに来たのであった。


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