帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

腹上死して生まれ変わってタイ人に68話

機械製造会社の駐在員ユウイチは泥酔しながらも若いゴーゴー嬢をホテルに連れ込み行為の最中に突然死してしまう。

死んだはずのユウイチは目覚めたとき、タイ人中学生の【アット】になっていた。
コンケン大学を卒業したアットは前世で勤務していた会社に入社する。

第1話はこちらから
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第68話 機械の不具合




2001年4月。
入社して4年が経過し27歳になった俺は引き続き製造部の機械グループで働いている。


数日前に問題が発生した。
大手自動車メーカーに納めた大型の自動組み立て機械が誤作動を起こしてクレームを受けていた。
納入してから2か月は正常に作動していたのに突然の不具合発生に会社では原因が分からず社長をはじめ上層部が対策に苦慮している。




会議室では機械の動きを制御しているプログラムに不備があったのではないかと、日本人の計装担当者が責められていた。

俺も通訳者として対策会議に参加していたが、終始他の部署から計装担当者が責め続けられている。

機械の動きを制御するプログラムは計装グループが担当しているため、機械の誤作動の原因は計装グループのミスが原因だと思われていたからだ。




ただでさえ肩身の狭い計装グループのスタッフは総出で悲壮感を漂わせながら膨大なシーケンサープログラムをひとつひとつ夜中までチェックしていた。

前世で計装部門だった俺には心当たりがあったのだが、俺の立場で出しゃばってもロクなことが無いので黙っていた。



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翌日俺は村上生産部長に連れられて問題のあった自動車メーカーに向かった。

村上部長が客先のタイ人からも聞き取り調査を行いたいということで通訳として俺が同行に選ばれたのだ。


「おい!あんたらはウチの生産ラインをいつまで止める気だ!すぐになんとかしないと世界中で出入り禁止にしてやるからな!」


自動車メーカーの生産部長からいきなり叱責をうける。
村上部長と俺はひたすら謝ってから現場の状態を見せてもらう。


問題を起こした機械は大型のコンベヤで流れてくる自動車の部品に細かな部品を自動で取り付けを行うものだった。
流れてくる部品自体のサイズが大きいので機械のサイズも大きい。

動作状況を確認してみると1-2分毎にロボットアームが誤作動を起こしてしまう。
村上部長は俺を通じて自動車メーカーのタイ人担当者に状況を聞く。


「これまで全く問題が無かったけど急にこんな動きを始めたんです。機械には全く触ってないのに。」


問題を起こす前に、特に機械を操作したりメンテナンスしたわけでは無いようだ。

外的要因に違いないと思った俺は周囲を見ると、原因らしきものを発見した。



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