帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

腹上死して生まれ変わってタイ人に50話

生産機械メーカーのタイ法人に勤務するユウイチは泥酔しながらも若いゴーゴー嬢をホテルに連れ込み行為の最中に突然死してしまう。

死んだはずのユウイチは目覚めたとき、タイ人中学生の【アット】になっていた。

第1話はこちらから
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第50話 学位授与式 




1998年2月。
アジア通貨危機で経済が混乱する中、アットはコンケン大学の学位授与式に参加する。

この日のためにスーツを新調し、大学近くの指定店で卒業式用の正装としてスーツの上から羽織るチュットクルイを購入した。

この日には両親も服装を整える必要があるため事前に5,000バーツを送金したにも関わらず、アットの父親は迷彩服のズボンにPOLICEとプリントされたTシャツ。
弟は真っ赤なTシャツにダメージジーンズと周囲から浮いて違和感のオーラを発散していた。

さすがに母親と妹はそれなりの服装ではあったが、来るときに母親は父親の服装には何も意見しなかったのだろうか?



2年前にできちゃった婚をした弟は、人の親になってそろそろ自覚が出て落ち着いてきたかと思いきや、変わった点と言えば新たに鼻ピアスを開けたことぐらいだ。
真っ黒でデカイ鼻ピアスが弟にとっての正装なのだろうか。


周囲には晴れの日のために着飾った人ばかりで、こんな場違いな家族とあまり一緒に居たくなかったが、ナムワーンの家族との待ち合わせをしているため我慢して待っていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇


約束の時間に遅れてナムワーンの家族がやって来た。
ナムワーンの父親はタイの国民的なバンド「カラバオ」のメンバーを強く意識した長髪+ひげ+バンダナといった風貌。
恐らくお姉さんだと思うのがオレンジっぽい色に染めた髪と、痛々しいほどに首筋に刺青があるケバい人。

こちらもタイの国王様も参加される国立大学の卒業証書授与式での場違い感がはなはだしい。
場違い感という意味でうちの家族とのバランスは悪くないのが救いだった。


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「POLICE」と「カラバオ」は和やかにキックボクシングの話で盛り上がっている。
子供が大学に通うための資金を1バーツすら出していない者同士で気が合うのだろう。


お互いの紹介の席でアットの母親から、弟がバンコクで働くので自分でアパートを借りるための入居保証金が溜まるまでの間、俺のアパートに住ませてほしいとの要求があった。

弟は女子中学生を妊娠させてから学校を辞めて父親の働く会社に就職したそうだが、辞めてしまったらしい。
バンコクで警備員の仕事なら勤まるのではないかと親戚のつてを探したところ、シーロムコンドミニアムで雇ってもらうことになったらしい。


一時期俺が働いた建材店で商品の出し入れをするだけの簡単な仕事に、辞めなければならない要素など無い。
弟はもしかすると俺が想像する以上にどんでもない馬鹿なのではないだろうかと心配になり、弟との一時的な同居をどうやって断ろうかと思案してた。


シーロムなら私の仕事場の近くなので、場所も教えてあげられますし、何かあればお手伝いも出来ます。」


しかしナムワーンが受け入れ了解のような発言をしてしまった。

その流れで、来月から弟が俺たちの住むアパートに居候することが決定した。



◇◇◇◇◇◇◇◇



卒業証書授与式が始まる。
卒業生は会場に一斉入場などしないで、集合時間が過ぎてから20分ぐらいかけてポツポツと卒業生が集まりだすという緊張感の無い卒業式だったが、学生が集まってさらに1時間以上たってから警察や政府関係者が会場に入場し、会場に緊張感がみなぎってきた。

偉い役人によるスピーチが終わり国歌と共に国王様が入場。
直接見る国王様に緊張する。
少しお言葉をいただいてから卒業証書の授与が始まった。

博士課程の卒業者から始まり、修士、学士とタイの国王様からひとり1秒もかけずに流れ作業のように卒業証書を受け取り、授与式が終了した。

場違いな家族と別れ、友人との打ち上げに参加してバンコクに戻った。



◇◇◇◇◇◇◇◇



バンコクに戻ってから計画どおり、ナムワーンに裸の上にシースルー生地のチュットクルイを着せてから立バックでセックスした。

生で挿入したのでイク寸前に外だしするべく抜いたところ、俺の精子がナムワーンのチュットクルイに付着してしまった。
付き合って初めてナムワーンに本気で怒られた。 



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