帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

腹上死して生まれ変わってタイ人に45話

生産機械メーカーのタイ法人に勤務するユウイチは泥酔しながらも若いゴーゴー嬢をホテルに連れ込み行為の最中に突然死してしまう。

死んだはずのユウイチは目覚めたとき、タイ人中学生の【アット】になっていた。

第1話はこちらから
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第45話 実家からカネの要求 



「アット! お願いだからすぐに5万バーツ送って。」


1996年4月。ソンクラーン休みを前に、今回の長期休暇のアルバイトで稼いだお金の一部を実家に送金すべく電話をしたところ、母親から5万バーツの要求があった。

まだ大学生の息子にどれだけ法外な金を要求するのかと驚いた。
5万バーツが必要な訳を聞いてみる。



16歳になる弟が同じ村の年下の女の子を妊娠させてしまい、相手の両親が騒ぎ出したため、急遽結婚させることになったらしい。
協議の結果、実家は結納金を5万バーツ払ってふたりは結婚することになった。

この当時のタイ東北部の貧困家庭では結納金は1-2万バーツが相場であった。
今回相手方の要求が5万バーツになったのはまだ15歳の大切な娘を妊娠させられたことを相手の両親が怒っているのと、

「お前の家は息子をコンケンの大学に行かせるぐらい余裕があるのだから結納金を相場以上出せ!」

という相手の強い要求によるものだった。



「アットが働かずに大学などに通うから!」

弟の不始末の責任の一端が苦労して自分で学費を補っている俺にある・・・とでも言う母親に腹が立った。

要求された結納金5万バーツのうち少しでも両親が出そうとする気持ちが無いのには呆れた。




俺は今貯金が50万バーツ近くあるので5万バーツなら出せなくもない。

しかし女子中学生とセックスして発展途上の幼い胸を揉み、小さな乳首を舌で弄びながら中田氏して気持ちよかった弟の尻ぬぐいを、苦労して働いている俺がするのは気に食わない。

しかも両親は俺が金を出せると分かれば、調子に乗って次々と要求してくるに違いない。

馬鹿なのでこちらの事情を話しても全く理解しないであろうから言葉に気を付けて回答しよう。




とりあえず以下のように回答した。


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現時点で持ち金は11,000バーツしか無い。
取り急ぎ有り金をすべて送る。

しかし学生に5万バーツすぐに払えという不可能なこと。
大学を辞めて半年も働けば可能であるが、あと1年で卒業出来るのに大学を辞めて働かなければならないなら自殺をする。

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「自殺する」という言葉はさすがに危機感を感じたようで、11,000バーツを送ってくれたら何とかするという母親の返事だった。


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俺がアットに転生してから1年でコンケン大学付属中学校に編入して実家を出て行ったため、弟とはこれまであまり接点は無かった。

5歳も年下とは言え、弟と知的な会話は皆無であったし、弟は俺の行動に全く無関心だった。


学校の成績は知らないが、何も考えていないようなビー玉みたいな目をした弟は恐らくかなり馬鹿だ。

しかしながら両親にとっては、海外留学や大学進学という彼らにとって全く縁のない方向に進む、異質すぎて行動が理解できない俺に比べて、馬鹿なりに地元で労働者として一緒に地元で生きていく弟の方が可愛いのであろう。


今後は様々な問題を起こすであろう家族をいくら支えても無意味な気がする。



携帯電話も無く、それどころか家庭電話も無い実家では俺に金の要求のために連絡するのは面倒だ。

1. 
公衆電話から寮の共用電話にかけ、寮の電話当番の学生か守衛に
何月何日の何時に電話をかけるという伝言をする。

2.
俺が指定された時間に寮の共用電話の前で待つ。
俺に伝言が伝わらなかったり指定時間に電話の前で待てなければ、再度何月何日の何時に電話をかけるという伝言する。


という面倒な手順が必要であった。

馬鹿な両親は学生の行動パターンなど想像もつかない。
最初は授業を受ける時間帯の朝の10時に「今日の昼の12時に電話する」という伝言を残して何度も伝言し直す事があった。

俺との連絡が面倒なため、送金の要求も少なかったであろうが、
携帯電話が普及する数年後には馬鹿な理由で頻繁に金を要求されるであろう。



ちなみに俺が実家に連絡するときは

1.
村に設置されている公衆電話に電話をかけて通りがかりの誰かが取るのを待つ

2.
電話を取ってくれた人に実家の両親を呼んでくれるよう頼む

3.
両親が不在であれば何月何日の何時に電話をかけるという伝言する。


と非常に面倒であった。

そんな悪い通信状況に逆に助けられているとは言え、そろそろ実家とは完全に縁を切ることについてナムワーンに相談してみよう。



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