帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

腹上死して生まれ変わってタイ人に24話


生産機械メーカーのタイ法人に勤務するユウイチは泥酔しながらも若いゴーゴー嬢をホテルに連れ込み行為の最中に突然死してしまう。

死んだはずのユウイチは目覚めたとき、タイ人中学生の【アット】になっていた。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



第24話 進学の障害



アットのモー6(高校3年)前期の成績が発表された。
タイでの成績評価にはアメリカに習いGPA(Grade Point Average)を採用しており、各単位毎の終了時の成績で5段階に評価し、評価の高い順に4点、3点、2点、1点、0点と換算される。


アットの中学校後期課程通算の成績はGPA3.50であった。
GPA3.5というのはこれまで3年間で50以上の単位において半分が最優秀の4点評価(100点満点換算90点以上)で残りの単位が優秀(100点満点換算80点以上)ということだ。

確かにアットは学年で20番以内のトップクラスの成績を維持し続けたこともあるが、去年日本への留学中の成績が全単位で4点の最優秀評価であったからだ。

日本留学を勝手に高評価してもらった結果、アットはコンケン大学への推薦枠を獲得する。

この当時はタイ政府による奨学金制度は確立されていなかったため大学毎に成績優秀者に対して奨学金の支給や授業料の後払い制度があり、アットは授業料を卒業後10年間にわたって分割返済する制度を利用することが出来た。



■■■■■■■■■■■■


中学校の後期課程を修了し、大学入学まで実家のロイエットに帰省した際に事件が発生していた。

支払い困難なローンを組んで購入した車にも関わらず、父親が事故を起こしたらしい。
父親が事故に対して迅速に行った対応が中古車の購入であった。

更なるローン支払いを組んでいたため、実家ではローン支払いに困窮していたのだ。



両親は俺に大学に行くのを取りやめて直ちに働けと言う。
両親に一切負担をかけないから大学に行かせてほしいと言う俺には

「親が困っているのにどうしてわがままを言うのか」

と母親は泣き叫び、父親は怒鳴る。


親が困った理由に関わらず、【困っている事実】に対して子供が協力しないことが駄目らしい。
確かに親が無計画に購入した車のローンの支払いのために娘が体を売る国だから仕方が無い。


今日のところは話にならないので、とりあえず明日から働くことに合意した。
2か月後に大学の新学期が始まるため、2か月以内に両親を説得しなければならない。



◇◇◇◇◇◇◇◇



父親の働く商店は小規模なホームセンターのような店で、家具や建築資材を販売している。
父親の仕事は商品を車で配送するのが主な仕事だ。

経営者の家族(オヤジ、息子、母親)以外に従業員は4名のみ。
俺は商品の出し入れや、入荷した商品を並べる仕事をすることになった。

決められた仕事無く、ひたすら経営者家族の指示で商品を動かしたり運ぶだけ。
何も言われなかったらぼーっと立っているだけの退屈な仕事だった。

馬鹿みたいにぼーっと立っているのも退屈なので、ゴミひらいや掃除など率先して行ったので経営者家族に気に入られた。


経営者のオヤジから聞いたのだが、俺の給料から500バーツを母親には内緒でオヤジのポケットに入れる話がついていたらしい。

俺がここで働くことに父親が固執した理由がわかった。


◇◇◇◇◇◇◇◇


1か月が経過し、俺が働いた給料が入って落ち着いたであろう父親と大学入学について再度交渉した。


大学入学に賛成してもらうために以下の条件を提示した

・500バーツのピンハネを母親にバラさないこと
・2000バーツの現金を母親に秘密で父親に渡す(日本語翻訳のアルバイト収入ということにした)


大学入学への合意を渋る父親には合意しないと 「女の事を母親にバラして家が混乱している間に家を出ていく」
と脅してようやく合意を得た。

カマをかけてみたが図星だった。



俺の邪魔しかしない馬鹿な両親と早く縁を切りたいのだが、タイの文化的には縁を切るデメリットが多いので最小減の送金をしつつうまく付き合わなければならない。