帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

タイに来てはいけない人を来させる商売1

人材紹介会社担当者様 御中

はじめまして。タイに何度も旅行で来るうちにおおらかな雰囲気や活気あふれるバンコクの街が好きになりタイに移住することを検討しております。

高校を卒業以来14年間、市役所の所有する移動式健康診断車両の運転手をしております。市の正規職員なので公務員です。資格は大型免許と英検4級があります。

タイ語は片言ではありますが、タイで仕事に就くことは可能でしょうか。



悪魔の回答
このたびは求職のお問い合わせいただきありがとうございます。

ご年齢が33歳と比較的若く、職歴が公務員ということで印象は良いかと思います。営業職が多いのですがいかがでしょうか?

ご紹介できる仕事が何件かあるので、旅行ではなくタイに移住しこちらに登録してはいかがでしょうか。



人材紹介会社はタイの企業から日本人やタイ人の求職者を紹介し、その求職者が採用されれば成功報酬として、採用元企業から支払われる紹介手数料を収入源としている。
したがって採用されそうな応募者はお金そのものである。


冒頭の問い合わせの男性のケースだと、比較的若くタイ語の出来ない応募者は給料が安くたたけるので、「使い捨て営業」や「苦情処理係」などとしてタイのブラック日系企業に人気だ。
この男性は公務員とはいえ運転手しか経歴が無いのでブラック企業以外はなかなか難しい。


能力や経験の割には日本で公務員として安定した職業に就き、よほどのことが無ければ解雇されることもなく、黙って運転していれば一般企業に勝る月給とボーナスと年金が約束されたポジションだ。

タイに旅行に来て「タイ人娼婦の魅力」に魔がさしたのか、タイへの移住を考えているが、普通に相談されれば100%「そのまま働き続けて、タイは旅行で来たらいいのでは」と回答される案件である。

特殊な技能や経験を持つ場合や、低賃金且つ本人の能力が関係ないコールセンターを除き、日本に居ながらタイで就職が決まることは少ない。
人材紹介会社としては早めにタイに移住してもらい、「タイ在住者」として紹介しなければ商品価値な無いので、安定した仕事を辞めてタイに移住してもらいたい。

ということで人材紹介会社としては日本からの問い合わせに対してタイへの移住を勧める。時には「仕事をやめて覚悟を見せろ」といった挑発的な言動となることもしばしばだ。

ブラック企業から数万バーツの報酬を得るために安定した仕事を失わせ、失意と共に日本に帰国し低賃金で長距離を走る大型車の契約社員ドライバーという末路を迎えさせる悪魔の商売である。

人にもよるが。

イメージ 1