帰国したタイの変な日本人

バービアを愛した中年デブの元タイ沈没者がタイを想ってタイを舞台にした小説のようなものを書いてます。

バンコクの陽炎22編 第9話 失踪


Q. 連れ子を我が子のように愛せるものなんでしょうか?

A. 上の娘は別の意味で愛せるとおもうよ。


第9話  失踪


あの日以来プローイは寺澤のコンドミニアムに住みついている。
頭ごなしに「帰れ」というのもどうかと思っているうちに数ヶ月が経過してしまった。

プローイは部屋の掃除や洗濯など身の回りの世話をしてくれるし、垂れた乳と肉割れしているお腹は慣れてくると悪いものでは無い。ただ夜中に友達を呼んで宴会するのはやめてほしい。

先週から夏休みらしく、田舎から14歳の娘と6歳のドイツ人ハーフの息子が泊まりに来ている。(事前許可無し)
プローイとは結婚するしない以前に付き合ってさえもいない。ただの居候兼性交相手といった認識である。
しかし居候の連れ子と一緒に生活する羽目になるとはさすがアメージングタイランドと言える。

プローイと、上の娘のオイを連れて3人で外を出歩くのは多少の抵抗はあるものの、まだありえる。そこに小型の白いフランケンシュタインのようなドイツ人ハーフのマイケルくんが加わると周囲から刺すような奇異の視線が気になる。

これが結婚相手の連れ子を「愛する」とか「我が子のようにかわいがる」などという次元ではなく、同じ人間と思えないような小型フランケンと同じ空間に居ることに対してすら自分自身がどう納得するかが問題だ。

通常なら間違いなく接点が無い、外見があまりにもそぐわない4人が一同に会するだけで、時空が歪むような錯覚に陥ってしまう。

★日本人イケメンエリート駐在員(35歳)
★タイ人色黒中年娼婦(32歳)
★タイ人中学生少女(14歳)
★ほぼドイツ人色白小型フランケン(6歳)

プローイはフランケン君に僕のことを「ポーケイ」と呼ばせているが、そう呼ばれるたびに波動砲で撃たれているような衝撃を受ける。


そんなこともあり、プローイにそろそろ自分のアパートに戻ってはどうかと言うと、「私はもう帰るところが無い」「子供達をつれてどこへ行けというのか」と泣きわめく。

アパートを引き払ったのは彼女だし、勝手に子供をつれてきたのも彼女だ。自分の勝手な行為は棚に上げて、既成事実を積み重ねて作った既得権を侵されると過剰な反応を示すのはタイ人女性の常套手段なのか。


そろそろ潮時か・・・・


不幸中の幸いは、勤務場所をプローイに知られていないことと、14歳の使用済みぱんつ(オイ:ナコンサワン出身)を入手したことか・・・。

その日以降、寺澤はその高級コンドミニアムには帰らなかった。

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